■2004/07/07 Wed
西武鉄道に乗ってみると、堤義明という人の思想が如実に分かる。
駅のホームで時刻表を探してもなかなか見つからない。あるのはセンスのない広告ばかりである。この鉄道が、乗客へのサービスではなく、企業の利益を優先していることは明らかである。
企業の目的は利潤の追求で、堤義明は父親からの帝王学によってそれを実践しているだけだから、その「思想」は、ある意味単純明快である(その対極として、複雑怪奇な堤清二がいる)。
しかし、多くの人々にとって、人生の悦びは利潤の追求ではない。そのもっとも分かりやすい例が、プロ野球である。プロ野球ファンは、経済的利益ではなく、純粋な悦び(すなわち、それは文化の一形態である)として野球を捉えている。
読売新聞と西武鉄道という、自らの利益を優先する企業によって、日本のプロ野球が牛耳られているのは、日本の不幸としか言いようがない。
しかし、スポーツは、まだいいのである。まったく報いられないのは、真の美とは何かを追求している芸術家たちである。