年度末は退官記念パーティーのラッシュでした。神戸大と名古屋大のはしご、どちらも宇宙線分野ですから、出席者の三分の一くらいはだぶっております。パーティーでは出来るだけ大人しくして、S先生が手配してくれたホテルにKさんFさんとチェックインし、のちほど二次会を終えたSさんも合流。かくして宇宙線山岳遊び隊4名がこうして揃うのは、何十年ぶりのことでしょうか。もっとも、他のお三方はぼく違って、日本の物理の発展の先端を担ってきた精鋭の方々ばかりです。昨年宇宙研を退官されたFさんが今も「はやぶさ」のミッションに深く関わっておられることは初耳で、「26日の試写会に行ってきたんですよ」「なんだ、そうだったのか」。Fさんは昔から慎重派でしたので、「はやぶさ」の成果についても、試写会で聞いた話ほどには楽観的ではありませんでした。そんなこんなで深夜2時近くまで話は尽きず、いささか学者不審に陥っているぼくも、このときばかりは屈託のない時を過ごしたのでした。
翌朝、名古屋城天守閣の昇り降りから栄、名古屋駅まで、すべて歩き。昔の同志として弱音を吐くわけにもいかず(何しろぼくが一番年下ですから)、ワインと本の入った重い鞄を片手に、しんどいことでした。山岳隊のみなさんの体力は昔と変わりません。アイゼン片手(?)に、リュックサックと登山靴(?)で行くべきでした。今回の名古屋行きの中で唯一の誤算でした。
因みに、拙著『神の仕掛けた玩具』の最初の短篇『超網の目理論』の主人公カマトロ博士のモデルは、山岳隊長のKさんであります。



P3290156s3
P3290158s2