今度の家は輸入住宅なので、風呂の湯舟もアチラ製である。アチラの製品は、総じてデザインはカッコイイのだが、よく故障するのが難点である。
 先日、排水口の栓を抜いて掃除をしていると、きちんと閉まらなくなってしまった。栓の先に、曲がりくねったへんな棒がついていて、それを排水溝の奥へ差し込むようになっているのだが、湯舟の縁にある開閉のつまみをどう回してみても、きっちり閉まらないのである。栓に付いた棒の先端と、つまみに連結されているワイヤーが、見えないところでメカニックに接続されているようなのだが、どうもうまくいかない。仕方なく、いったんリビングに引き揚げてマニュアルを調べようとしたが、このマニュアルがまたいいかげんで、何の説明もない。思案に暮れていたところ、日頃、そういう細かいことはやらない連れ合いが「私が見る」といって風呂場に行き、2,3秒もしないうちに「直った!」と叫んだ。
 信じられない思いで現場にかけつけると、たしかに栓がちゃんと閉まっているではないか。「どうやって直したの?」と聞くと、「栓は閉めるもの。上から強引に押したら閉まった」と言うのである。
 なるほど。これは玉子を立てるのに、先をぐちゃっとつぶす、あの要領である。手段ではなく目的を考えよ。大したものだ。あらためて、連れ合いの現実主義に感心したのであった。
 ただし、その夜、無事風呂には入れたが、今度はどうつまみを回しても栓が開かず、湯が抜けなくなった。
 我々夫婦は「割れ鍋に綴じ蓋」である。