大学の夏休みも終わり、今日は教授会。一般論として、会議というのは無味乾燥・退屈なものですが、今日はちょっと嬉しい報告がありました。我が大学の人材が活躍しているなぁと実感しました。報告された3つのイベントを紹介したいと思います。
(1)8月29日、相愛オーケストラが中国遼寧省の瀋陽市で1400人の聴衆の中、演奏会を行いました。教授・小栗まち絵さんのヴァイオリン独奏「梁山伯と祝英台」では、涙を流す聴衆も多数いたそうです。この企画には、無論、音楽学部の協力があった訳ですが、仕掛け人は我が人文学部・教授の孫久富博士です。孫教授の尽力がなければ、大阪の小さな私立大学が、中国有数の遼寧大学・東北大学と交流することも出来なかったでしょう。孫さんは、文化大革命の辛酸の中を生き抜いた中国のエリート、専門は日本の万葉集、若い頃は山崎豊子氏の中国取材で通訳を務め、山崎氏をしてこの若者の通訳でなければ取材は出来ないと言わしめた人材です。この素晴らしい人材を、相愛大学はようやく「有効活用」し始めたと思いました。今回の中国交流では、ぼくも講演を打診されたのですが、すでに書きましたように、8月は超多忙でやむなくお断りせざるを得なかったのです。残念なことでした。
(2)9月25日(土)、本町の相愛学園講堂でシンポジウム「人文科学の挑戦」が開催されます。パネリストは、中沢新一×内田樹×釈徹宗。この組み合わせを実現したのは、釈徹宗さんです。釈さんは浄土真宗のお坊さんで、昨年より我が人文学部の教授を勤められています。一昨日の朝日の夕刊にも、落語と仏教にかんする著書が紹介されておりました。この企画は、来年度より人文学部に仏教文化学科と文化交流学科が新設されるのを記念したものですが、それを超えて人文科学に新たな地平を拓くものと期待されます。
(3)三つ目は、大阪府立中之島図書館主催の特別開館&講演会&音楽会です。大阪中之島の象徴である中之島図書館と、大阪市唯一の私立大学、相愛大学の共催です。仕掛け人、これまた我が人文学部教授・建築学博士の呉谷充利さんです。11月21日(日)は呉谷先生の講演会「中之島図書館の来歴と真価」。(あいにく、この日は連れ合いのリサイタルと重なってしまいました。残念です。)来年1月16日(日)には、「二神、三重奏」と銘打った演奏会。音楽学部の竹林先生(クラリネット)、田辺先生(ヴァイオリン)、斎藤先生(チェロ)によるバッハです。
 とかく学内政治の駆け引きの場となりがちな教授会において、このような純粋に芸術的な活動の報告が3つもなされたことは、会議嫌いのぼくには新鮮な驚きでありました。しかも、仕掛け人がいずれも相愛の顔となりうる人材。じつは、孫さんは結婚式の司会をさせてもらった十数年来の親友、呉谷さんは連れ合いの演奏会にいつも来て下さるこれも親友、釈さんはまだお付き合いが始まったばかりですが、拙著を全部読んで下さっている。相愛大学人文学部には、こんな素晴らしい人たちがいるんだとあらためて感激した、珍しい会議でありました。