恥ずかしい・・・鏡に映るぼくは嘘をついてしまった

「美容師の友だちに頼んで刈ってもらいました・・・」

「あら・・・そう!でもここだけ長いわね」

そう耳の上の一部が刈れなかったところをジッと見ている

ぼくは必至に「何かバリカンが苦手で途中で止めてしまって・・・」

おばさんの顔を見て言い訳をしてしまった

 

「そうなの・・・」

おばさんはぼくの髪形を見て

「それで・・・これから伸ばすの?短くするの?どっち?」と聞いてきた

ぼくは、耳下くらいまで伸ばしてボブにしたいと答えた

「じゃ~わかった刈り上げを整えて、横と後ろは真っすぐに揃えましょう」

そしてバリカンを持ってきた

 

今は昔のバリカンと違って刈りやすいわよ

長さも調整できるし・・・と言いながら後頭部を刈り始めた

「ジ~ジ~ジ~」と短い髪がさらに刈られていく

結構な範囲を刈っていく

数分刈り上げると、今は2mm、3mmだから下はもっと短くするね

0,5mmと呟き、剃っちゃってもいいね・・・

「ジ~ジ~ジ~」とジョリジョリ感が伝わってくる

耳の周りも結構短く刈られて、下部分は剃られてしまった

 

満足そうにバリカンを置いて、霧吹きで髪を濡らした

髪を下ろして櫛で真っすぐに整えた

「あ~伸ばすって言ったのに・・・・」

無残にも数センチ髪を切って揃えている

横は耳半分よりも上で揃ってしまった

そのまま、後ろも真っすぐに揃えている

何度も櫛で下ろして揃えるという作業が続いた

ぼくは・・・この先が怖くなった

なぜなら、おばさんはぼくの目の前に立ち前髪を真っすぐに下ろした

そしてこめかみ辺りから横にハサミが入ってきた

「ジョキジョキジョキ・・・」

あ~ダメ、真っすぐは・・・おばさんのハサミは僕の目の前を何度も往復した

丸かった前髪は跡形もなく、こめかみから直角に切り揃えられしまった

もう!でも言葉には出来ない

え~もういいよ!さらに数ミリ前髪は無残に切り揃えられてしまった

それも眉上2センチ辺りで・・・

 

おばさんは合わせ鏡で後ろを見せてくれた

青々と剃られてしまった後頭部と見事に揃えられている

おかっぱのラインが恥ずかしかった

 

おばさんは「ワカメちゃん刈り」で可愛いね・・・

と薄笑いで鏡の中のぼくに話しかけた

 

おわり