「姉ちゃん・・・」言葉が詰まった
おいおい!同じ髪形にしたんかい・・・テンションが下がる思い
里実!どうかしら?
「う~ん」苦笑する
ま!当面、切らなくていいし、楽だよね
眉上2センチで真っすぐ厚めの前髪と直角なライン
耳半分で揃った横髪から後頭部へ続く平行ライン
そして見事なまでも青い「ジョリジョリ」感の後頭部
恥ずかしがることのない姉に「さすが・・・動じないんだ」とある意味感心
行き交う雑踏に揉まれながら、一目が気になる僕と
何のためらいもなく、平然と進む姉の姿が立派に見えた
相変わらずの生活をしていた夕食時に姉が口を開いた
「あのね、別の研究所に異動になるの・・・それでね、ここ引っ越ししようかなって」
新しい研究所は郊外になるんだけど、そんなに遠くないからさ
あんたも一緒に引っ越すでしょ・・・否定できない空気があった
今の生活費と内容考えたら、「うん」と頷いた
それとね、移転先なんだけど決めてきたの・・・
築年数は相当なんだけど・・・家賃がいらないって!光熱費は払うけどね
農家さんの敷地にある家なんだけど・・・研究所の先輩の自宅でね
二人で住むなら・・・どう?って
実はもう下見したんだけど、家賃ダダには魅かれるよね
あとね敷地内におばあちゃんがやってる小さな床屋さんもあるのよ
面白いでしょ。。。
そうなんだ・・・ま、よくわからいけどいいよ!
そして数週間後、農家の借家へ引っ越した
「ここだよ!」大きな家だね・・・・
私たちの借りるのはここ、ここも広そうだね
母屋は瓦屋根のある大きな屋敷、その隣の藁ぶき屋根が私たちの住むところ
へ~と感心しながら荷物を運ぶ、お世話になる家の両親とその先輩、妹さんまで
手伝ってくれた、「ふ~やっと運んだね・・・」
疲れちゃったよ・・・
荷物を片付けて、家の周りを散策した
巨大な敷地には母屋とここと床屋さんと納屋と蔵がふたつもある
立派なお屋敷なんだな・・・
姉と家の荷物を片付けて、夕食は母屋でお世話になる家族と共にした
引っ越しのときいなかった、床屋の店主(おばあちゃん)も同席した
時間が経つにつれて、妹の芳美さんと二人きりになった
年も近くて話しやすかったけど、ちょっと変わった印象を受けた
「ねえ、私今理容専門学校に通ってるの・・・」ほらおばあちゃんのお店
あるでしょ!あれ私が引き継ぐの・・・
それから数か月が経った
だいぶ、生活にも慣れてきた
里実くん!髪切ってあげるよ
芳美が道具を抱えてやってきた
「でもプロじゃないからさ・・・失敗したらごめんね・・・」
実験というわけだね、「いいよ!この頭で良かったら」そう返事を返した
最初に見た時から「おかっぱ」でしょ
うん、姉貴に切ってもらってるから
「そうなんだ!」別に髪形とかこだわりないしね
つづく