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~はじめに~

今回この話を書くにあたって、

色々考えました。

たくさんの人に迷惑をかけ

自分の愚かさを知った出来事です。

当時を知る人は、

これを読んで不快に思うかもしれません。

ただ、あの時自分がどういった

心境だったのか、

どうやって心を入れ替えたのか

改めて思い返し、文章にすることで

今後、同じようなことを

二度と起こさないための

予防線にしようと思いました。

拙い文章ですが、

是非最後まお読みください。

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私にとっての高校時代は

暗く憂鬱なものでした。

 

私の通っていた高校は

千葉県有数の進学校にも関わらず

部活にも非常に力を入れている

所謂、文武両道というやつでした。

 

勉強にも部活にもついていけず

心を許せる友達もいませんでした。

周りに溶け込むために

ピエロのように笑いを取ることで

どうにか生きていました。

 

今思い返すと、

ただただ、人間の根が

腐っていった時間だったと思います。

 

また、これは、この後書くことの

言い訳にするつもりはありませんが、

中学後半から高校にかけて

やや、家庭に問題が発生しており

精神的にもちょっときつかった

時期でした。

 

 

高校二年の9月

ある月曜日の昼休み、

いつものように

友達と弁当を食べていました。

 

別に仲が特別良かったわけでは

ありませんが、

同じサッカー部のクラスメイト3人で

机を並べて他愛もない話をしながら

時間をつぶすのが日課でした。

 

その日は連休明けだったこともあり、

昨日どこに行った?・・・とか

昨日のテレビが・・・など

至極どうでもいいことで

盛り上がっていました。

 

その友達の一人に

少し女性っぽい挙動をする奴がいました。

そいつは、周りの同級生から

からかわれて、ゲイというあだ名で

呼ばれていました。

 

今でこそ、

LGBTへの偏見が問題視され

彼らへの理解が深まりつつありますが、

正直、15年ほど前、

少なくとも私にとって

ゲイは気味が悪い存在でした。

 

その彼が雑談の流れで

 

「昨日仲のいい友達と

 ショッピングモールに行った」

 

という話をし始めました。

 

かねてから、

その二人は

関係がデキてるんじゃないかという

噂があり、これを聞いた私は

 

(面白い!いじったろ!)

 

と、最低の考えに行きついていました。

 

『お前ら二人でデートに行ってたのか?』

 

自分では、冗談のつもりでしたが

彼にとって、それは守るべき

大切な何かだったのでしょう

 

「今お前なんて言った?!!」

 

凄味のある顔で私の顔を

睨んでいました。

 

今覚えば、なぜ私は

そんな思いに至ったのか

わかりませんが、

 

(こいつむかつくな・・・

 ボコボコにしてやりてえ・・・

 俺がもう一回煽って、

 殴ってきたら、殴りかえそう・・・)

 

と、思っていました。

 

恐らく、とにかく誰かを殴る

口実が欲しかったんでしょう。

日ごろのストレスを発散する

はけ口として、ちょうどいい奴が

目の前にいるな・・・と・・・・

 

『お前、デートしてたのか?』

 

・・・

 

次の瞬間、

彼から私の目に向かって

裏拳が飛んできました。

 

(きたっ!)

 

と思い、私はここぞとばかりに

彼の顔面に4,5発拳をいれました。

 

どよめく教室、

ぐったりとした彼。

一瞬にして彼の白のシャツは

真っ赤に染まっていました。

 

この時の私は、

ヤバい!とか

やっちまった!

という感情の前に

 

(あー、スッキリしたー!)

 

と、気分が爽快だったことを

覚えています。

 

少し間が空いた後、

彼が立ち上がり

 

「お前、なにしてくれんだよ!!!

 大変なことになるぞ!!!」

 

顔面を血だらけにしながら

そんなことを言い放ちました。

 

その時初めて、

 

(あー、これやばいかも・・・)

 

という感情が湧き始めました。

 

すると彼が

 

「俺にも殴らせろ

 それでおあいこにしてやる。」

 

????

 

たぶん喧嘩なんか

これまでにしたことが

なかったのでしょう。

喧嘩において、

殴られたから殴らせて!

なんて、話が通用するわけがないのです。

思わず笑ってしまいそうになりました。

 

ただ、私はこの時、

 

(後の流れを考えた場合、

 ここで殴らせといた方がいいな)

 

などと、考えていました。

 

『いいよ、殴りたかったら殴れよ!』

 

私の三文芝居に乗っかり

彼は数発私の顔に拳を当てました。

 

悲しい程のへなちょこパンチに

拍子抜けしたところで、

昼休みを終えるチャイムが鳴りました。

 

 

彼は病院へ行き、

私はその後もいつものように

授業を受け、部活をし、帰りました。

 

 

夜、彼から連絡がありました。

鼻の骨折と顎のズレで

全治2か月と診断されたとのことでした。

 

この時ようやく、

 

(もう学校にもばれるだろう・・・

 これ以上隠しきれないな・・・)

 

と、思い。母親に打ち明けました。

 

泣きながら、怒られましたが

同時になぜか謝られました。

 

当時、家庭の環境が良くなかったことで

自分の息子が変になったと

思ったようです。

 

(そうじゃないんだよ・・・)

 

と思いながら私も泣きました。

どんな感情だったかわかりませんが

辛いのは自分だけじゃないのに

また、母親を悲しませてしまったことに

男として情けないと

思ったのかもしれません。

 

・・・・・・

 

次の日、私は今までにない

憂鬱な気持ちを背負いつつ

いつもと同じように

学校へ向かっていました。

 

私の気持ちを嘲笑うかのように

その日は雲一つない快晴だったのを

今でも覚えています。

 

 

続く