あ、断っておくが、
お相手は女性でもお米でもない。
なんだか最近は、
心の底から欲しいモノや、
喉から手が出るほど欲しいモノって、
昔に比べて無くなってきたような気がする。
これは、物質文明や消費社会の反動による、
モノを持たない風潮に知らず知らず共鳴しているからだろうか…
それとも、真に魅力のあるモノが減ってきたのだろうか…
それとも、すでに必要なモノを持っているからだろうか…
それとも、自分の審美眼が究極までに高まったのだろうか…
それとも…
もういいか。めんどくさくなってきた。
どうせ歳のせいだろう。
ところで、
私が久し振りに一目惚れしたのがこれだ!
日本の正しい金魚鉢。
しかも、これ以上ないというぐらい
見事なフォルム!
エロティシズムさえ感じさせる曲線美!
金魚鉢といえば、やっぱりこのデザイン!
パーフェクト!
キング・オブ・金魚鉢!
ザ・金魚鉢!
…
もういいか。めんどくさくなってきた。
たまたま行った大きいスーパーの
ペット用品売り場で見つけたのだが、
あまりに完璧過ぎるデザインに心を打たれ、
即買いであった。
さて、買ったはいいが、
私には金魚を飼う習慣はない。
どうしよう…
そのままインテリアとして使うには味気ない。
水と小銭を入れて、持ち運び可能な自宅用銭洗弁天という案が頭に浮かんだが、
すぐに打ち消した。
センスの欠片もない。
あっ❗いいことを思いついた❗
それは数年前、近所の雑貨屋で大きなタライの中で漂っていた本物ソックリなフェイク金魚。
樹脂でできた金魚にハリス(釣糸)とガン玉(オモリ)が付いているのだ。
その姿は何とも健気で愛らしく、
一目惚れで即買いしたものの、適当な容器がなくてどこかに放置されたままだったのだ。
あのガラクタ同然だったフェイク金魚は、
実はこの金魚鉢に繋がっていたのかと思うと、なんだか感慨深い。
早速私は、石と水草を買い実践に移した。
私の妄想が始まる…
和室の窓辺にそっと佇む金魚鉢。
その横から漂う蚊取り線香の芳しい香り。
上から吊るした風鈴の軽やかな音色。
窓の外には可憐な朝顔。
甚平姿で団扇を手にした私は、
それを眺めながらスイカやかき氷…
いや、やっぱりビールと枝豆か。
日本の正しい夏は、もう目の前だ。
あぁ、楽しみ!
やっぱり欲しいモノがあるということは、何歳になっても幸せなことである。
I Want…
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「Cheap Trick」
“I Want You To Want Me”
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メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより