読書の秋 《奥田英朗》×《ジョン・レノン》 | メンズビギ マルイシティ横浜店 GM(ゼネラルマネージャー)の極私的ブログ

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今や、名実ともにベストセラー作家の仲間入りを果たした奥田英朗。

たくさんの映画やドラマの原作にもなっているから、ご存知の方も多いだろう。

私もデビュー直後の「最悪」や「邪魔」を筆頭に、数々の著作を読んできた。

彼の作品は、その時代の社会が抱える問題をスリリングかつユーモアを交えて斬り込み、それでいながら高いエンターテイメント性を備えているのが魅力だ。

「オリンピックの身代金」などは、
彼の真骨頂ではないだろか。
(吉展ちゃん誘拐事件を彷彿させる)


さて、そんな奥田英朗のデビュー作は、
「ウランバーナの森」である。



実はこの作品は、新人賞経由ではなく
なんと!出版社への持ち込みである。

私が奥田英朗を好きになったきっかけは、
精神科医伊良部シリーズではなく、
この「ウランバーナの森」であった。


「世紀のポップスター、ジョンの隠遁生活も4度目の夏を迎えた。その夏もいつも通り妻のケイコと息子のジュニアと共に軽井沢で過ごした。ところが家族との素敵な避暑を過ごすはずが…」

もうピンッ❗ときた方もいるだろう。

ジョンというのは、ジョン・レノン
ケイコは、オノ・ヨーコ
ジュニアは、ショーン・レノン
のことである。
(っていうか、それ以外考えられない)

こんなバレバレの登場人物の設定って、
アリなんだろうか?
こっちが心配になるくらいだ。


さて、ストーリーはその先どうなるか
と言うと、奇想天外な展開が始まる。

「ジョンは壮絶な便秘に悩まされ、絶望の縁に立たされる。あまりの苦しさに耐え兼ね、ついに病院通いを始めたジョンの元に、次々と過去からの亡霊が訪れる…」


ジョンも一人の人間だとはいえ、
誰がこんな展開を予想できよう。

ちなみに亡霊とは、元マネージャーのブライアン・エプスタインや遊び仲間だったキース・ムーン、ハンブルグでの修行時代に喧嘩した港湾労働者だったりするのだ。


その後物語は、ジョンが便秘になった原因、亡霊が訪れる意味、母の本当の愛情、家族を愛する意味…などが、
ジョンが遭遇した神秘体験を通じて明かされていく、喪失と再生の感動ファンタジーになっている。


私もジョン・レノンについては、
彼の淋しい幼少時代から
断片的なことは知っているが、
なぜかこの本を読むと、
人間ジョン・レノンへの理解が
さらに深まるのである。

空想の小説なのに…。

それだけジョンに対する奥田英朗の愛が感じられる作品となっている。


私はこの作品を読んだ後、
夏の軽井沢でジョンの足跡を辿ったり、
さいたま新都心にあったジョン・レノンミュージアムに何度も通ったものである。
(何で閉館しちゃったんだろう…)


ビートルズ解散後初のソロアルバム
「ジョンの魂」で、今まで抱えてきた苦悩を赤裸々に表現したジョン。
悲痛な声が印象的だった。


そして結果的に最後のアルバムとなった
「ダブル・ファンタジー」での、
愛と確信に満ちた声。


同じような鐘の音で始まる、
「マザー」と「スターティング・オーヴァー」
約10年の隔たりがある2つの曲だけど、
とても同じ人が書いた曲とは思えない。


この2つの曲のギャップを埋めたのが、
家族と過ごした軽井沢での主夫生活であったのは想像に難くない。

便秘になったかどうかは、
神のみぞ知るが…。


あれッ⁉

いつの間にか奥田英朗じゃなくて、
ジョン・レノンの話に刷り変わってしまった!

ま、いいか。
今日は奇しくもジョンの誕生日だから。


ところで…

奥田英朗の作品には、その時代を象徴するファッションアイテムがキーワードとして登場することが多々ある。

そんな話も書こうと思っていたのだが…
もういいか。

その辺の話は、また別の機会に。



メンズビギ  マルイシティ横浜店  GMより


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