アルジェリア人質事件 | 元文京区議会議員 橋本直和 オフィシャルブログ

アルジェリア人質事件

アルジェリアの天然ガス関連施設にて武装組織が従業員を人質に取った事件が発生し、アルジェリア軍特殊部隊による制圧作戦で従業員の方も犠牲となり、日本人も7人亡くなったとの情報が入りました。心からご冥福をお祈りします。

今回の事件で感じたのは国によって対応がそれぞれ違ったことです。
日本を含めた何カ国かが人命優先を第一とした慎重な姿勢を求めたのに対し、アルジェリア軍は事件発生から間もなく強行突入を行ないました。
正直、私はアルジェリアの早期決断に驚きましたが、一方でその判断を支持する国もあり、テロに対する考え方が国によってそれぞれ違うのだと実感させられました。
日本という国がテロリストの脅威に晒されたのは、オウム真理教による地下鉄サリン事件以来なく、その脅威を感じるのがなかなか難しいです。
しかし、アルジェリアという国は内戦以来過去20年間に渡ってテロとの戦いを続けており、テロリストと日夜すれ違っているかもしれない、そんな環境下にあります。
今回のような事件に対し、アルジェリア政府が慎重な姿勢を取ることは、同時にテロリストに隙を見せることになりかねません。
つまり、この強行突入はアルジェリアの国としての未来を考えての行動であり、国家の威信をかけてテロとの戦いに屈しないというメッセージでもあるのです。
被害者ならびに遺族の方々には大変痛ましい出来事であり、私たち日本人の感覚からしたらアルジェリア軍の行動は理解できません。
しかし、これがテロと戦っている国家なのです。
人命はもちろん大切なのですが、国の未来を守ることはより大切なのです。

サハラ砂漠はアフリカの3割を占める広さがあり、ほぼ中国と同じ大きさです。
そんな広大な砂漠の下に豊富な資源がまだまだ眠っていると言われています。
豊富な地下資源を求めて世界各国から人、金、技術が集まっており、同時にその資本を狙った犯罪者も集まってきます。
現在、サハラ砂漠周辺は誘拐による身代金請求、武器や麻薬の密輸等、テロリストの楽園となりつつあるそうです。
アルジェリア軍はそんな現状から国の威信と基幹産業を守るため、無力な人質となってしまった方々は巻き込まれてしまいました。

アルジェリア軍の判断を、私たち日本人も他人事では済まされない環境下に置かれつつあります。
尖閣諸島や竹島、北方領土等の領土問題は日に日に加熱しており、対峙国に日本国家が毅然とした態度を示せるよう、憲法改正を視野に入れた国家安全保障の議論を粛々と進めていく必要があると、今回の事件を通じ改めて思わされました。