豊島区議会本会議臨時会が本日行われた。昨年の同じ臨時会が、私の初の議会だった。

1年間の4回の定例会中3回にわたり、本会議の一般質問で放射能汚染に関する発言をした。
その結果、ついに豊島区において訴え続けていた「公園のミニホットスポットの測定」を実施するところまでこぎつけることができた。

自治体と住民との協働(コラボ)は、本当に実現できるのだということがわかった。議員生活1年の中で、この理解は私にとって大きな自信となった。何より協力してもらった皆さんに感謝申し上げる。

私は、議員は行政に圧力を与えるための存在ではなく、住民と行政との橋渡しや仲介・代弁者の役目を背負っているのだと考えてきた。

1年間放射能汚染から始まり、学校教育や子育て支援や福祉、そして行財政改革や議会改革などの課題に取り組んできた。
これらの事柄も、区民の方のご相談やご要望がないところでは、前へ進む事ができない。当然、議員の仕事も成り立たない。

「どうすれば皆が幸せになれるのか」「どのようなシステムが望ましいのか」を、住民の代表である議員が議会という場で協議するものとこれまで思っていた。

しかし、実際の議会は私が期待した議員間の協議という形式ではなかった。

委員会や議会前に、多数派政党とそれに賛同する政党会派と区長部局によって、協議結果があらかじめ非公式に決定されていたなどとは、議員になる前には思ってもいなかった。

反対風の意見を言っているから反対なのかな?と思ったら、始めから賛成だったなど、さらにマッチポンプ的な発言があったりと、作法のわからない自分としては不思議でならなかった。
どうにも腑に落ちない時には、委員会や議会が終わった後に委員長や議長に説明をしてもらった。

議会作法は、はっきりいって一般社会ではまったく通用しないものだ。
「出来レース」というようなイメージの協議である。もし一般社会でそんなことを当たり前と標榜していたら、胡散臭くて誰からもどこからも信頼されないだろう。

そして、議員同士の関係が非常によろしくない。

政党や信条が異なるだけで、同じ日本人であり住民でありながら、区議会と言う場で大っぴらにいがみ合っている。簡単に言うと、みな意地悪に見えるのだ。きっと私もそう見えるだろう。

地方自治を進めていくにあたり、議員同士でいがみあって、潰しあって、何か得る物があるのだろうかと、疑問に思い続けている。

地方議会に政党会派が存在しなければどうだろうと、思う事がある。

地方議会は二元代表制であって、区長(首長)も選挙で選ばれる。
そもそも与党も野党もないはずなのに、国政に倣って地方議会も多数派を与党と言っているだろう。

自分も政党公認議員であるため、この問題をバッサリ斬ることはできない。
それは地方選挙は国会の政局の影響をかなり受けるということを分かっているからだ。

民主党が政権を奪取した頃には、地方議会選挙にかなりの影響があった。どこの議会でも民主党が最大政党会派となっただろう。
そして、今回私が出馬した統一地方選挙では、3.11による政府対応のまずさが影響して、多数の民主党議員の議席が失われた。
その民主党が評判を落とした部分に、我々みんなの党の新人が入ってきたのだと思う。

地方自治、区政については、区民に一番近いのが区議会議員である。その区民の代わりとなって直接区役所で区政を司ることができる。
そのような近い存在の区議会議員だから、有権者の方々はどちらかというと政党に投票というよりは、議員個人に投票している部分もこれまで大きかったのだろう。だからその町の名士が議員になってきたのだと思う。

しかし現在はちょっとその様相が変わってきているのかもしれない。

私の選挙を振り返ると、「民主党はダメ」「かといって自民党もダメ」というような選択肢の中で、「それ以外の政党のみんなの党」又はみんなの党という何らかのブランドイメージに投票してくれた可能性が大きい。
私たちが当選したという事は、現在の生活の中に、何かしらの変化を求めている住民の方々が割と多く存在したということがわかる。

しかし変化が乏しかった世界の中に、新しい人間達が突然ドヤドヤやってきて、今までのやり方を変えようと(改革という言葉を使って)することは、どんな人でも抵抗があるだろう。
特に役所という組織は変化を嫌う傾向があるし、年配の方々にとっても今更変革を求められるわけだから当然つらいだろう。

人間の生活や幸福など、歴史を振り返っても生活スタイルこそ変化したかもしれないが、実際は根本は変わらないのかもしれない。

これからの自治のビジョンは、若い人間同士が集まって議論していき、上手く進まない時は先達に知恵を出してもらう。
地方議会では党派を超えて我々議員が「中庸の精神」を意識しながら、物事を考えたり決定したりすることが必要ではないだろうか。

議会について感銘を受けた書籍の紹介↓



中島正郎 著『議会運営コンサルタント』三成書房
まえがき「議会は政治と言っても一人一人の考えの違う者の集団で、議員は高い識見によって自治体の方向をきちんと決める重大な責務が付与されている。それには会議体を通して住民の想いを反映させるには、法令に精通することが常に議員活動を価値あらしめることにもなるし、そうしたルールを無視した活動は一人の政治運動に過ぎない。」
まえがきにグッとくる。
本書は標準会儀規則を著者の説明や運用例、事例などでわかりやすく解説してあり、地方議会初心者でも十分理解できる内容。
著者の中島氏は、地方議会の研究の第一人者であるという。残念ながら故人。