木村は貧しかった
真夏の真っ只中カーテンを閉め切った部屋でPCゲームに熱中している
異常なまでの呼吸法
変人にしか見えなかった
友人
木村の家族構成は奇妙で
叔母と父親と木村
それと時々姿を現わす木魚を片手に持った居候であった
中学生の私からしたらそれは恐ろしく奇天烈で御伽噺の様な
巨大化したおもちゃ箱の様な感覚で
彼の家に遊びに行っていた
私が中学を卒業し引っ越しを決めてからは彼には会っていない
いや
正確には会おうとしていない
連絡先も持ってはいない
木村の家はもう無くなってしまっていた
3階建の元歯科医院の様な構造をしたあの家は古びて(初めから古びてはいたが)しまっていて
表札も
カーテンも
周りを囲い生い茂っていた雑木林も
壊れた三輪車も
立ち止まり
耳を澄まして聴こえてくるのは風の音と
どこか懐かしい木魚の音だけだった

木村とは中学の頃から会ってはいない