放送日:1984年4月27日(金)19:30~20:00 テレビ朝日
演出:田中秀夫
脚本:上原正三
不思議獣:ケロケロ


「地球人じゃないわね、あの子。」(アニー)

宇宙刑事シャイダー Vol.2 [DVD]/東映ビデオ

¥10,584
Amazon.co.jp

ものがたり:
14才の少女・ゆかりの前に突然襲いかかるフーマ。ゆかりのテレパシーを感知したアニーは現場に急行、彼女の謎に迫る。

雑感・おすすめポイント:
ゆかりが実は宇宙から飛来し、地球人に育てられた、プレイン星の王女だった、という、かぐや姫とか『未知との遭遇』を思わせるようなSF短編(まあ正味25分位だから、どれも短編ではあるんですが)。序盤でゆかりを助け出すくだりの、“アニーが走行中の車に飛び乗る”、などの体当たりスタントはやはりかっこよく、「ヒロインがかっこいい東映ヒーロー作品」である本作の魅力を堪能できます。そのまま、ブルホーク(バイク型マシーン)で駆けつけたシャイダーが、ゆかりをめちゃくちゃな乗せ方で後部に乗せて走り去るシーンがなんとも笑える(笑)。

1年ほど前から、故郷の星からのテレパシーを感じるようになった、と言うゆかりが、自分の出生の秘密を知り、帰りたくない、今の両親と離れたくない、と言う心理はわかるんですが、そのゆかりが不良とつるんだり、父親の作った焼き物を壊すような不良少女である必然性がちょっと弱いというか、無理くり感が否めないけど、これも時代なんですかね(「非行」、というキーワードとか、「不良」とつるんで「ディスコ」で豪遊、とか)。まあテレパシーに悩まされるあまりに道を踏み外した、と読み取れなくはないですが、その見方はけっこう番組側に譲歩してるかなと(笑)。

「かぐや姫」のようにゆかりを拾い育てた地球での父親が、ゆかりを思うあまりに宇宙刑事達にきつくあたったり、秘密を明かした後、「帰りたくない!」とごねるゆかりに、「ゆかりは地球と宇宙に、それぞれ両親を持っているんだよ。」と諭したりと、味わい深いドラマが良いです。ラスト、『未知との遭遇』的に宇宙船に吸い込まれていくゆかりを見送る両親の切ない姿・・・とほろ苦いSFおとぎ話、な一編でございました。ちなみにラストで前作『シャリバン』のBGMが一部使われていましたね。

個人的には別れのシーンの手前で、ゆかりの育ての父が大に「沢村さん!」と声をかけるシーンがツボでした(笑)。いや、沢村さんなんですけど、なんだろうか、この沢村大の「“頼れる刑事”感」がすごく良いなあというか。ヒーローなんだなあ、と。円谷浩さんの知的な佇まいが本作に与えている絵的な説得力をすごく感じて、嬉しくなりました。

未知との遭遇 スペシャル・エディション [Blu-ray]/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

¥2,571
Amazon.co.jp