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化学式の種類と書き方 


「周、化学式って何か、大体わかってる?」 

「えっと……物質がどの元素からできているかを、元素記号で表した式……だよね?」 

「うん、まあその通り。でも、化学式はそれだけじゃない。“何の元素が、どんな割合で結びついているか” それも、ちゃんと示してるんだよ。」

フッ素が言いました。 

「じゃあ、いよいよ本題に入ろうか。ひとくちに“化学式”といっても、実はいくつか種類があるんだよ。」 

「えっ!? 化学式に種類があるの!?」

 僕は思わず声を上げました。 

「そうさ。状況や目的によって、使い分ける必要があるんだ。」 

「ちっとも知らなかった……。それで、どんな種類があるの?」 

「たとえば……分子式。」 

今度は水素が口を開きました。

 「分子式っていうのは、物質を構成する分子に、どんな原子がいくつ結合しているかを示す式なんだ。たとえば……水はH₂O。」 

「水は、水素が2つ、酸素が1つ……ああ、たしかにH₂O!」

 僕がうなずくと、フッ素が続けました。 

「そう。つまりH₂Oという分子式は、水という分子が水素原子2個と酸素原子1個からできていることを意味しているんだよ。」 

「わかったかい、マーク?」 

水素が訊いてきました。

 「うーん……まあね……」 

「“まあね”ってことは、まだ納得できないところがあるんじゃない?」

 フッ素が笑いながらたずねました。

 「うん。僕が引っかかったのは、“分子式”っていう名前なんだ。だって、物質ってみんな分子でできてるんでしょ?それなら、いちいち“分子式”なんて言い方しなくても……って思ってさ。」 

「ははは、なるほど、そこか!」

 フッ素は笑いました。 



「何も笑うことないじゃないか!」

 「ごめんごめん。でもね、ちゃんと理由があるんだ。“分子”っていうのは、複数の原子が“共有結合”で結びついたまとまりのことなんだ。たとえば、前に話した塩化ナトリウム(NaCl)。あれは、ナトリウムイオン(Na⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)がイオン結合で交互に並んでいるだけだから“分子”とは呼ばないんだ。」

 「このように、イオン結合でできた物質では、各イオンの比率を表すために“組成式”という書き方をする。

 塩化ナトリウムはナトリウムイオンと塩化物イオンが1:1で結びついているから、NaClって書くんだ。このような組成比は実験的に求められることが多いから、 “実験式”と呼ばれることもあるんだよ。」 

「なるほど……やっとスッキリした!」

 僕はフッ素の目をまっすぐ見て言いました。 

「この他にも化学式にはいろいろあってね……」 

フッ素が続けました。 

「たとえば、有機化合物では“示性式”や“構造式”を使ったり、最外殻の電子を点で表す“電子式”あるいは“”なんてのもある。……でも今回は、そのあたりには触れないから、興味があれば自分で調べてごらん」フッ素はまるで化学の先生のようでした。――でも、僕の学校の先生よりずっとやさしくて分かりやすい先生です。