信じられないことに、倒れて壊れた古時計が直っちゃいました。

 

 

時計:息子に11時38分に息の根を止められたぜ

 

 

一昨日、父が新事務所へやってきた。久しぶりの会社、『旅行には飽きちゃった 

やっぱり会社が一番だな』 感をプンプンさせながらの登場。そして開口一番、

「せめーな(狭めーな)」と、わたしがやっとこ探してきた事務所、

そして気にしていることを何の衒(てら)いもなく、ズバッといってくれる。

「思ったより広いね」 とか、「物を置いたら逆に広く感じるね」とか、〝ロビー活動″を

行っていたことがすべて台無しに・・・

 

向こうの方で社員にドイツ土産を手渡して、きわめてゴキゲンな父。まあ元気で

よかったな、と思っていたらこちらにやってきた。そして、

 

父: どうだ?

わたし:(直立不動の姿勢で)お父さんの大切にしていた時計を不注意から

   壊してしまいました!

父:(瞬間的に厳しい顔つきになり) なに? あれは大和に持っていったんじゃ

   なかったのか?

わたし:大和の2階に置きっぱなしというのも何なので、ここで、目の届くところで

   置いておいた方がよいかと思いまして平和島に持ってきました!

 

瞬間的に、久しぶりの、小学校時代のわたしと父の親子関係に逆戻り

 

父:(にがり切った様子で)お前が大切にしないからそんなことになったんじゃないのか!

わたし:ここまでは大切に梱包して運んできたのですが、引越しの日に風で倒してしまい

   それから動かなくなってしまいました!

父:お前が捨てようと思っているから,そんなことになる。もっと大事に扱えなかったのか!

わたし:そんな捨てようなんて・・・

父:もう直せるところなんて無いだろう・・・ 古いからな

 

よく(修理を)断られたこと知ってるね、と、ちょっと感動。それにしても、うーむ、弱った・・・

 

父:(無言でゼンマイを巻き始める)

わたし:お父さん・・・多分、ゼンマイの(巻き不足の)せいではないかと・・・

   倒す前までは〝カチカチ″とか〝ボーン″とか言ってたわけだし、

   中の機構が外れちゃったとか、そういうメカ系の故障だと思われます・・・

父:(無言で)(ゼンマイを巻き切って、時計の針をグルグル廻し、振り子を軽く振る)

そうすると、

 

古時計:ボーン、ボーン

わたし:ありゃ?うそっ!

 

父:こんな振り子時計なんてのは構造が簡単で壊れないんだよ おい原田(若手社員)

  振り子はなんであるのか知ってるか?

原田君:えっ? 振り子ですか!?

 

いきなり原田君は無防備なところを父に突っ込まれ、アタフタしている。

当社の朝ではよくある光景ではあるが。

 

 

父:なんでも古いからって捨てようとすんじゃねーぞ。オレもお前に捨てられないように

  気をつけないとな、なあ原田!(笑)

 

会社経営も時計修理も何事も、お前よりオレの方が上 (ハイその通りでございます)

時計:やっぱりオレの主は相談役だぜ