九時過ぎくらいにインターホンが鳴る。
八時半くらいに起きていたけれども三十分程度では人類に進化できず、初めて陸に上がった魚類のようにのそのそと玄関に向かう。
佐川急便の人で、四巻の重版見本でした。
配達してくる人が大体同じなのですが、自分はこの人にどんな風に思われているんだろう、といつも思ってしまいます。
その後、原稿が行き詰ったので目を閉じながら、ついでに横になってお話の続きを考えるのよー、と布団の上にごろり。
気がつけば十二時半。
目を覚まし、二度寝のせいですごい重くなった体を引きずりながらお茶を飲もうと急須を開けたらいつ飲んだか覚えてないお茶っぱがはいりっぱなし。
捨てる時に糸引いてもなんとも思わなく自分はきっとたくましくなったんだと思います。
で、がちゃがちゃと急須を洗っているとまたもインターホン。
けれども妖怪アンテナがぴぴっと反応して、忍び足で覗き穴を覗く。
ドアに取り付けられているのが魚眼レンズだから、ということだけでは説明できないくらいに死んだ魚みたいなうつろな顔つきをした中年のおばさん二人組み。
というか、レンズの真正面がちょうど眉間で、視線はきっとドアの向こうの2Kmくらい先に焦点が合わされている感じ。
『南国少年パプワ君』のタンノ君を真正面から見ている感じだと思ってください。
絶対ドアは開けられません。
しばらく息を殺していると、思いのほか諦めが早く、隣の部屋に行きました。
うっかりドア開けたら面倒くさそうでした。
で、そんなことがあってまた原稿をぽちぽちとやっていると、三度インターホン。
また来たのかと覗き穴を覗くと、佐川の人。
メディアワークスから創立十四周年記念、とかいうので記念品が来ました。
さてなんだろうと思い開けてみると、中華皿に、中華ドンブリ。
それに、
チキンラーメン
一食浮いたわあ。
去年の記念品は乾パンとかいうのをどこかで見かけた気がしましたが、来年はなんだろう。
というか来年ももらえるのかあれですが、もらえるように頑張りたいと思います。