私が、子供の頃のテレビは今と違い、リモコンではなくつまみ式のチャンネルで、ガチャガチャしているうちに、チャンネルがすっぽ抜けたりして、間に合わせにペンチで回したりしていました。

形も、4本足で立っていて画面はもちろん白黒ですが、妙なリアル感がありました。

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まだ各家庭にテレビがなく、近所の家に集まりさながら、ミニ街頭テレビといったところでした。

当時は、まだ日本は独自で番組を制作する力が弱かった時代で、アメリカのドラマを見ることが多かったと思います。

現在、声優の仕事が人気になっていますが、当時は専門の声優さんではなく俳優さんがアテレコをしていました。

近所の、おじいさんが、「この外人、日本語が上手いね。」の言葉が懐かしい時代です。

それだけ、声優さんとしての技術が当時からレベルが高い事の証明だと思います。

その中で、私が注目してみていたのは、「逃亡者」というドラマで、オープニングでサイレンが鳴るシーンは怖く、白黒の画面が更に怖さを増していきました。

その時の矢島正明さんのオープニングナレーションがものすごいインパクトがあり、今でも言えと言われれば言えます。

この影響で、あこがれた職業がナレーターです。

残念ながらナレーターには程遠い人生を送りましたが、子供の頃憧れたものの一つです。

逃亡者のナレーションは、「リチャード・キンブル。職業、医師。正しかるべき正義も、時として、盲いることがある。彼は身に覚えのない妻殺しの罪で死刑を宣告され、護送の途中、列車事故に遭って辛くも脱走した。孤独と絶望の逃亡生活が始まる。髪の色を変え、重労働に耐えながら、犯行現場から走り去った片腕の男を捜し求める。彼は逃げる。執拗なジェラード警部の追跡をかわしながら……現在を、今夜を、そして明日を生きるために。」

このナレーションいま思い出して即興で記しましたが、違っていたらご指摘ください。

あらすじは、妻殺しの濡れ衣を着せられ死刑を宣告された医師リチャード・キンブルが、警察の追跡を逃れながら、真犯人を探し求めて全米を旅する物語で、最後にジェラード警部の配慮で、片腕の男と対決の果て無実を勝ち取るといった内容です。

しかし、この話は実話をもとに制作されたと聞いてその当時は驚きでした。

≪1口メモーサム・シェパード事件≫

1954年7月4日オハイオ州クリーブランド郊外に住む、サミュエル(サム)・シェパード医師の家で、彼の妻マリリンが惨殺された。サムはもじゃもじゃした髪の侵入者に殴られ気絶していたと主張したものの、容疑者として逮捕され、第二級殺人(計画性はあるが第一級殺人の条件を満たさない殺人)で終身刑の判決を受ける。母親はショックで拳銃自殺し、父親も病死。しかし、1966年に行われた再審の結果、サムは無罪となって釈放されたという事件です。

まさに、逃亡者が人気になった背景だと思います。

しかし、この事件の真相は謎のままで大きく言うと未解決事件です。

U-NEXT【海外ドラマ】

 

このドラマのインパクトで、ナレーターに憧れ、矢島さん以外にも、芥川隆行さん、睦五郎さん等、テレビ創世期の人達がナレーションしていた番組はよく見ていました。

懐かしさと同時に、YouTube等で当時の番組を見る事、聞くことができる現在に感謝しています。