SFORZATO DST-Lepus
fidata HFAS1-S10UJ
2点を購入しました。


上がfidata HFAS1-S10UJ
下がSFORZATO DST-Lepus

DST-Lepusはネットワークトランスポートです。
・LANで入力しDST-Lepus内で再生処理を行いデジタル出力するネットワークトランスポートとしての機能
・Diretta hostからDiretta出力したデータを受け取る事が出来るDiretta targetとしての機能
・USBかLANで入力したデータをZERO LINKで出力するZERO LINK DDCとしての機能
以上の三つの機能が主な特徴として挙げられます。

特にDiretta targetになれる事と、ZERO LINK出力出来る点が魅力ですね。
Direttaに関しては説明するのがなかなか難しいのですが、簡単に言えば音が良いLANの伝送技術です。
Diretta hostとDiretta targetにそれぞれ対応する二つの装置が必要で、ここではfidataがhostを、Lepusがtargetの役割を担います。
ZERO LINKはSFORZATO社とSOULNOTE社が提唱する、トランスポート-DAC間の接続方法です。
DVIケーブルを用いてDAC側からトランスポート側にクロックを送り同期する事により、非同期回路を完全に排除する事が出来るそうです。
私はZERO LINK入力を持つSOULNOTE社のS-3 ver.2を愛用していますので、今回ネットワークトランスポートを導入する際にはこのZERO LINK出力を持つ機種が必要不可欠でした。
ZERO LINKの音の良さに関しては、SOULNOTE公式サイトの下記ページでUSBとの比較音源が公開されていますので確認する事が出来ます。

https://www.kcsr.co.jp/sn_zerolink_sample.html

続いて二つ目の購入機種、fidata HFAS1-S10UJはオーディオ用NASです。
fidataやDELAの様なオーディオ用NASは、単純にNASとしての役割を担うと同時にレンダラー(音源再生)としての機能も備えているというのが特徴ですが、fidataに関しては上でも説明したようにDiretta hostになる事も出来ます。
DELAはDirettaに対応していないので、今回はfidataを導入する事になりました。
もちろんPCを自作するという選択肢もあったのですが、またリニア電源やらアクセサリーだらけになると見栄えが悪くなるので今回はパスです。


購入動機
昨年の1月にSOULNOTE S-3ver.2を導入して以来、私のオーディオはCD/SACD再生一辺倒でした。
音も良く不満は特に無かったのですが、ある日、いつも聴いているCDのハイレゾ音源を購入してPCから聴いてみたんです。
そしたらびっくり。聴き慣れたCD音源とは音の情報量にかなりの差を感じました。
その時のシステムは平凡なPCからSabaj D5という中華DACにUSBで繋いだ簡易的なものだったのですが、それでも音源の差というものを痛感してしまったのです。

以前はPCオーディオを楽しんでいたので勿論ハイレゾの良さは知っているつもりだったのですが、今のCD再生に慣れた耳にとって、ハイレゾ音源は如何ともしがたく刺激的なものでした。
それからはもう我慢できず。早急にネットワーク再生システムを注文するに至りました。
fidataはタイミング良く新機種が発売されたので早々に手に入ったのですが、Lepusに関しては昨今の材料不足から納期が3ヵ月程掛かりました。
早く情勢が安定すると良いですね。

 




音の比較
今回の主な導入目的はハイレゾを聴くという事でしたが、音質も勿論大事です。

以下5種類の構成で比較してみました。

1. DirettaとZERO LINKを使用
fidata
↓(LAN:Diretta)
DST-Lepus
↓(ZERO LINK)
S-3 ver.2

fidataとLepus間をDirettaで伝送し、LepusとS-3はZERO LINKで繋ぎます。
この場合、fidataはNASとして機能すると同時に、音源の再生も行います。
LepusはDirettaで受け取ったデータをZERO LINKでS-3に送るだけです。



2. ZERO LINKのみ使用
fidata
↓(LAN)
DST-Lepus
↓(ZERO LINK)
S-3 ver.2

1と違いDirettaは使用しません。
Direttaの効果を確かめます。
またfidataはNASとしての役割にのみ全うし、音源の再生はLepusで行います。
LepusとS-3間はZERO LINKを使用します。


3. どちらも使用しない
fidata
↓(LAN)
DST-Lepus
↓(USB)
S-3 ver.2

DirettaもZERO LINKも使用しない、今回の中では最もスタンダードなネットワークオーディオの再生方法です。
USBとZERO LINKの差は明確ですが、一応これも比較対象として試聴します。


4. CD再生
S-3 ver.2

fidataもLepusも使用せずS-3 ver.2のみでCDを再生します。
今回のネットワークシステム導入前のシステムです。



5. 簡易ネットワーク再生
fidata
↓(USB)
S-3 ver.2

fidataとS-3だけを使った簡易的なネットワーク再生システムです。
fidataはZERO LINK出力を持っていないので、必然的にUSBで繋ぐ事になります。
ハイレゾ音源を聴くだけならこれでOKです。


以上5つのシステムで音質を比較してみました。
なお比較対象にCD再生が含まれているため、音源は全てCD規格(44.1kHz / 16bit)で行いました。

まず先に結論から言うと
1>>2>4>>3>>>超えられない壁>>>5
といった具合に音質差を感じました。

1は圧倒的で、S/N、音の広がり、情報量等あらゆる面で上でした。
一段レベルが違うな、と感じられる凄みがあります。
ただ若干ですがfidataの色が乗る傾向にあるようで、ややカッチリとした響きが伴う感じがしました。
ですので人によってはこの部分が少し気になる場合があるかもしれません。

2は1とはやはり差があり、どちらかと言うとCD再生の4に近い音ですが、4よりもS/Nが上回っています。
ただ4もシンプルなCD再生としてのまとまりや熱さがあって、正直ここは好みによる部分の方が大きいと思いました。
個人的には1がある限り2を聴く事はほぼ無いですが、4のCD再生は手元に残しておきたいなと思わせる独特な良さがありますね。

3は正直CD再生があれば音質的には不要と感じました。
勿論S-3 ver.2で再生という前提なので、他の装置だとどうなるかはわかりませんし、ハイレゾを聴ける事と利便性が高いという利点もあります。

4は上で述べた通り独特の良さがあります。
熱さは一番。

5は論外です。
低域が出ずボーカルは掠れ、高域はキンキンで音楽に集中出来ません。
いかにハイレゾが聴けるとは言え、CD再生をやめてこれで聴くという選択肢はありませんね。


まとめ
やはりDirettaとZERO LINKの組み合わせは流石に凄かったです。
個人的にはZERO LINKは絶対的に必要で、Direttaは更に先に進むために必要みたいなイメージです。
ただDirettaの場合はDiretta hostに仕事が集中するため、Diretta hostのクオリティに依存する部分が大きいと思います。
今回私が購入したfidataは40万弱と十分お高いものなのですが、fidataの中では最もグレードの低い機種です。
fidataの上位にはHFAS1-XS20があり、更に現在開発中のHFAS2が控えています。
勿論PCを自作するという選択肢もあり、Diretta hostのポテンシャルにはまだまだ上がある様に感じますね。
そして収穫だったのは、CD再生もまだまだ捨てたもんじゃないなと感じられた点です。
シンプルな単一装置での再生なので、設計者の意図を最も感じる事が出来ました。
これからもたまにはCD/SACDでの再生も楽しんでいきたいなと思います。


おわりに
fidataとLepusを導入する際に、追加で諸々購入したので明記しておきます。
LANケーブル JS PC Audio NOCX2 Pro
LNAケーブル JS PC Audio NOCX2
電源ケーブル ゲンさんのケーブル×3
電源タップ KOJO Crystal 6.1
ルーター用電源 GaN PD充電器 65W
PD対応トリガーケーブル JS PC Audio TOC-v1-LE
ルーター  アイ・オー・データ WN-DEAX1800GR

この小物類だけでも10万以上したので、今回ネットワーク再生環境を導入するのに結局全部で80数万円程掛かりました。
これだけ投入してCD再生の方が良かったらどうしようかと思ってましたが、音もちゃんと良くなったので助かりました。
勿論ハイレゾも聴ける様になったので大満足です。

少なくとも、DirettaとZERO LINKを使用するのであれば、両機種ともお勧めできるものだと思います。

今までCD再生やPCオーディオ、ネットワーク再生など様々な構成で音楽を聴いてきましたが、このDiretta+ZERO LINKというのは、正直今までで最も音質的にセンセーショナルな印象を受けました。

こんなに音良くなるんだなあと感動しました。

Diretta、SFORZATO、SOULNOTEには感謝ですね。


次は何を購入しようかはまだ考え中ですが、とりあえず今はこの環境を存分に楽しんで行こうと思います。

ではまたですノシシ