オリエントの健康優良児的ムーブメント

cal.31系!!!
 
手巻きのcal.31630 19石 12型 機械厚4.8mm
 
ムーブメントとして生産されたのは昭和40年以降で、昭和41年(1966)にニューモデルのAAA WEEKLY及びCALENDARに搭載されてデビューしています。
貴石数は手巻きから自動巻きのカレンダー、ウィークリーまで合わせて、17石~25石が用意され、最終的には30石もあったようです。
AAAは当初セイコーcal.76系オリエントカスタムが使われ、cal.31系に徐々に移行ていったようです。35石だけは最後までcal.76系オリエントカスタムが使われたみたいですね。
セイコー76系35石 WEEKLY AUTO トリオスタット 12型 機械厚6.25mm
 
まぁ、それは置いといて。
 
Cal.31系にはざっくりと四種類のムーブメントがあるのでそれについて少しだけ。
手巻きCALENDAR:cal.313○○(13○○) 機械厚4.25mm
手巻きWEEKLY:cal.316○○(16○○) 機械厚4.80mm
自動巻きCALENDAR AUTO:cal.317○○(17○○) 機械厚5.70mm
自動巻きWEEKLY AUTO :cal.319○○(19○○) 機械厚6.25mm
といった感じですで、三桁目の3と7がCALENDAR、6と9がWEEKLYになります。
ムーブメントには四桁の刻印が入るので、一桁目の3は省略されていますので、
cal.31942であればローターに1942と刻印されているわけです。
オリエントさんが業者向けに出していた技術解説書に載っていて、cal.31系、33系、34系ムーブメントに適用されます。
 
cal.31942 12型デイデイト自動巻き 機械厚6.25mm
 
cal.31系の何が健康優良児かと言えば、とにかく壊れない。「頑丈!」の一言に尽きます。
元々素性のいいセイコーcal.76系を基にオリエントが独自に設計し直した出来上がったcal.31系ですが、とにかくタフなムーブメントとなっていました。
難点といえば機械の厚さ、デイデイト自動巻きで6.25mmというのはさすがに厚い。
で、健康優良児的なこのムーブメントですが、製造されたのが昭和40年~41年ということになっています。
実はこれ、第一期生産期間で、後に第二期生産期間というのがあります。
オリエントは昭和41年にデイデイトカレンダー付自動巻きムーブメントとして世界で初めて4mmを切るcal.33900(3900)をリリース(ORIENT FINNESS専用)し、世界を驚かせます。
(デイデイト自動巻きで機械厚3.90mmは1970年まで世界最薄でした。)
昭和42年(1967)に、オリエントは汎用薄型自動巻きのcal.34系(機械厚4.30mm)をリリース、生産を主力をcal.34系に切り替えています。
腕時計もAAA DELUXEが登場していますので、この生産の主力切り替えは至極当然と結果と言えます。
 
cal.34973 27石 12型デイデイト自動巻き 機械厚4.3mm
 
機械の薄さは31系WEEKLYの6.25mmに対して、cal34系は4.3mmになっているのですから仕方がないですね。
更に二年後の昭和44年(1969)にはcal.42系が登場します。この42系は国産ムーブメント最後のロービート18000振動のムーブメントです。
 
cal.42950 23石 12型デイデイト自動巻き 機械厚4.3mm
 
もう回りはロービート21600振動のムーブメントばかりで、18000振動は消え行く運命にありました。実際、42系の後継ムーブメントはあのcal.46系(昭和46年)です。当然、21600振動のムーブメントです。
 
実は昭和46年の時点でオリエントは3種類のムーブメントを使い分けていました。
新開発のcal.46系、製造が継続されたcal.42系、そして製造が再開されたcal.31系です。
そして、cal.48系が登場する昭和48年までcal.42系、cal.31系ともに製造が続けられていました。この時期がcal.31系の第二期生産期間になります。ただ、第二期生産期間中に作られたムーブメントは19石と21石の二種類に絞られていたようです。
cal.46系、cal.48系ハイエース(Ha)とともに作られていたRIENTモデルにcal.31系、cal.42系搭載モデルが含まれています。
 
1960年以降(特に1970年代)、オリエントは後進国と言われていた国(アジア、東南アジア、中東、南米)に対する海外進出に積極的で、ムーブメントにはタフさが要求されたようです。
そうなるとオリエントの健康優良児であったcal.31系はうってつけ、タフさは折り紙付きです。震度数は18000振動てすが、時間制度に差が出るような差はありませんし、新たに開発する必要もありません。
そりゃ、使いますよね。(^^)d
 
cal.31945 21石 第二期生産ムーブメント 改修番号が「5」ですよ。
 
cal.31系を搭載したオリエントの腕時計は、高価なニューモデルの影で、安くて壊れない性能のいいオリエントの腕時計として、オリエントを影で支えまくっていたわけです。
(〃▽〃)b