腕時計の話で、猫の爪研ぎって何やねん…
まぁ、自動巻きの話なんですけどね…(*^^*)

オリエントの腕時計に自動巻きが登場したのは1962年、N型を改造したN型自動巻きが最初です。(^^)
ローヤルオリエントの自動巻きといったところですが、モデル名は「Super Auto Orient」で貴石数19石と21石の二種類がありました。
セイコーのオートマチックから5年、シチズンのオートから3年遅れの登場です。
「Super Auto Orient Perfect Self winding」という気合いの入ったネーミングで、満を持してって感じですね。(*^^*)b

Super Auto 21J 赤秒針 Shower Proof
Super Auto 21J Shower Proof
Super Auto Orient 21J ビックフェイス

スーパーオートの自動巻き機構であるハートカム式は自社開発ではなく、スイスIWCのペラトン式という自動巻き機構を採用してオリエントのムーブメントに搭載したものです。
↓コレですね。

↑Super Auto Orient 21J ローターでけ~

この自動巻き機構は部品点数が少なく、クラッチも使わずに両方向巻き上げができる、とても効率の良い機構です。

ローヤルオリエントのN型ムーブメントはフォンテンメロンのムーブメントを元に作られたムーブメントなので、フォンテンメロン系のムーブメントにIWC系の自動巻きが載っかっているという、欧米では有り得ない組み合わせですね。
オリエントではN型の後継機、L型にもハートカム式自動巻きを使い、最終的にはcal.67系としてグランプリ64、Calendar Auto、cal.66系としてグランプリ100、初代キングダイバー、Weekly Autoと、AAAシリーズ以降、セイコー系マジックレバー式に切り替わるまで使われていました。

ハートカム式ですが、機構の厚みが2mmほどあります。
N型ムーブメントの機械厚は4.2mm、L型でも3.6mm、サイズが12型前後です。そこに2mm程度の自動巻き機構が覆い被さっているのですから、結構大型で重いムーブメントになってしまっています。
N型自動巻きが13_1/2型、L型自動巻きも13_1/2なので、12型前後が一般的な腕時計のムーブメントにするととても大きいムーブメントです。
なので、ケースの中はムーブメントでパンパンです。
ケースサイズ36mmのケースだとキワキワまで攻めています。
スペーサー要らずですが、逆に補強用リングが入っているモデルもあります。

↑N型 ↓N型自動巻き(機構外し状態)
グルッとローターの外周分を外側に拡大、大きいムーブメントになるはずですね(。-ω-)

ケースの縁、3mmって…(^_^;)

だからかどうかは分かりませんが、L型自動巻きを搭載したモデルは大きいケースを採用する事が多く、シリンダータイプのケースが多いように思います。同じ年代のセイコー、シチズンがケースサイズ35mm前後であったのに対して、オリエントは一回り大きいモデル展開をしていましたので、今でも十分存在感あります。(〃▽〃)b
ムーブメントが大きいので仕方ありません。
逆によくもまぁ、この大きさに納めたと拍手を贈りたいくらいです。(パチパチ👏)

グランプリ64のcal.676でこんな感じ(〃▽〃)

ドド~ン、とL型自動巻き&cal.6系
L型自動巻き GRAND PRIX C-AUTO 30J
cal.676 GRAND PRIX 64
cal.660 Weekly Auto Orient
cal.670 Calendar Auto Orient

しかし、ムーブメントの信頼性は抜群です。テンプの大きい手巻きのN型、L型ムーブメントをそのままで、地板を拡大して自動巻き用の接続歯車を加えて使っているだけなので、開発コストも殆どかかっていません。時間精度、安定感共にバッチリです。
そして、ハートカム式は両巻きで巻き上げ効率も高いので、今でも十分使えます。

現在の問題は、経年変化で爪が磨耗のした個体が増えてきたことでしょうか…
設計も古いですし、既に50年以上前のムーブメントですしね…状態の良い個体はへっていますし、交換する部品もありません。(^_^;)

巻き上げ方が「猫の爪研ぎ」みたいで可愛いんですけどね~(〃▽〃)
ニャ~😸(カリカリ)