高速鉄道(前編) | 蘇州日記

蘇州日記

2015年4月から蘇州に単身赴任しています。蘇州での生活をブログに書いてる人が大勢いて、赴任前にとても参考になったので、真似することにしました。

中国の鉄道は、多少の例外を無視して大雑把に言うと都市内の移動は地下鉄、都市間の移動は高速鉄道という棲み分けになっています。

東海道本線にあたるような在来線も一応ありますが、僕は乗ったことないので無視します(笑)。

蘇州の地下鉄については既に紹介済みなので、蘇州から別の都市に行く為の高速鉄道について紹介してみたいと思います。

高速鉄道のことを中国語で高速鉄路(ガオスーティエルー)と呼びます。一般には略称の高鉄(ガオティエ)で呼ばれることが多いようです。



蘇州に住み始めた頃、僕はICカードで乗り降りできる地下鉄に比べて、高鉄に乗るのは難易度が高いんだろうなあと思い込んでいました。

日本の新幹線に乗ることを考えれば想像がつく通り、窓口に行って「○月○日の○○○号、一等席を○枚」って言わなきゃいけないわけですが、そんなの中国語で言えません。

もちろん、あらかじめ紙に書いておけば良いのですが、窓口の人に「その電車は満席です。二等席なら空いてますがどうしますか?」なんてことを言われたら一巻の終わりですからね(笑)。



ところが、高鉄のチケットはスマホアプリで簡単に買えるのです!



チケット購入に使うのは、この前紹介した微信支付です。




微信支付の画面をちょっと下の方にずらすと、「Rail & Flights」っていうボタンがあります。

これをタップするとチケット購入画面に行くことができます。





中国語なので面倒ですが、何となく意味はわかるので、出発地、到着地、日付を選択して「火车查询」というボタンを押します。





そうすると出発時間順に電車の一覧が出て来ます。





列車番号は「G7219」とか「D305」などの形式になっています。

Gは高鉄(ガオティエ)の略でひかり号みたいなもの。Dは動車(ドンチャ)の略でこだま号みたいなものです。

ちょっと紛らわしいのですが、狭義の「高鉄」はひかり号みたいなものだけを指し、広義の「高鉄」はひかり号とこだま号を両方指すという感じです。

2011年に温州で2つの高鉄が衝突して高架から落ちるという事故がありましたが、この時の2つはどちらも動車だったので、中国国鉄は「高鉄は一度も死傷事故を起こしたことはない」といばっているとかいないとか・・・。

GとD以外のアルファベット(KやZ)は高鉄ではなく在来線です。



例えば一番上の「G7219」には「二等座 79張」と書いてあるので、「二等席しかないのかな?」と思ってしまいますが、一番たくさん余っている切符を表示してるみたいです。

タップして次の画面に行くと、ちゃんと他の座席も選択肢として出て来ます。





二等座は日本の新幹線の普通席と同じで、片側が3列、もう片側が2列になっています。

一等座は両側とも2列で、座席が広めになっています。

「商务座」というのはビジネスクラスのことで、コーヒーとスナック菓子が出ます。

高いので普段は乗りませんが、一度だけ他が満席だからという理由で乗ったことがあります。

コーヒーが出るのはありがたいのですが、客室乗務員に「コーヒーか紅茶か中国茶かどれにしますか?」と聞かれた時に何を言われてるのかわからなくて困りました(汗)

「无座」というのは立って乗ることですが、そういうチケットは売ってないみたいですね。



座席の種類を選ぶと、こんな画面に行きます。





ここで乗車する人の氏名・ID番号を入力します。

中国の高鉄では乗車する本人の切符を買うことしか許されず、それを確認する為に乗る人の情報を入力するのです。

僕はこのことを知った時、「高速鉄道の切符を買うにもID番号で管理されるとは、さすが共産国だ」と思ってしまったのですが、そういう事情ではありません。

昔は誰でも自由に購入できたのですが、ダフ屋が横行して、一般庶民はダフ屋から高値で買うしかないという事態になったことから、数年前にこういう措置が取られるようになったそうです。

ID番号は中国人なら無戸籍者以外は全員が持っている18桁の番号のことで、正式名称を「居民身份证号码」と言います。僕たち外国人はその番号を持っていないので、代わりにパスポート番号を使います。



チケットが無事に購入できると、購入できた旨の微信のメッセージが届きます。





とは言え、これで電車に乗れるわけではありません。

終わったのは予約と支払だけで、実際に乗るには紙の切符を手に入れる必要があります。

そのやり方は後編で紹介したいと思います。



スマホによるチケット購入機能は、テンセント自身が提供しているのではなく、蘇州に本社を置く同程旅游(トンチャンルーヨウ)というオンライン旅行会社が提供しています。

微信以外にも色んなサイトと提携していて、例えば銀行のネットバンキングのアプリからも同様にチケット購入ができます。

微信や銀行のアプリから同程旅游にリンクが貼ってあるというより、同程旅游のモジュールが微信や銀行のアプリに組み込まれているという感じですが、サービス自体は同程旅游から受けていることになります。

日本だったら「ここから先は他社のサイトになります。会員情報をその会社も使うことに同意しますか?」なんていう画面が出てきたり、改めて同程旅游への会員登録が求められたりするところですが、中国ではそんなことは気にしないので、同程旅游が微信の会員情報を勝手に使ってサービスを提供します。ユーザーの使い勝手としては「微信の中でチケットが買える」というイメージになります。

中国は日本に比べてあれこれ不便な国なのですが、ネットの世界に限って言えば、個人情報とか著作権とかセキュリティとか面倒なことを気にしない分だけ、日本よりも却って便利だと思います。


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