新しい訪問診療の先生にみていただくことにして、通院していた精神科の先生に紹介状を書いていただくよう、お願いをしに行きました。
精神科の薬に対しては、最初から最後まで疑いの目を向けていた私ですが、先生は母の話も私の話もよく聞いて下さり、楽観的すぎない程度に楽観的で、ある意味気持ちを軽くしてくれる先生だったので、少しだけ残念な気持ちもしました。
が‥
薬を処方しているのはこの先生なのですから、結局私にとっては先生🟰薬・・
紹介状が無事施設に渡り、施設から新しい訪問診療医に届けられたころ、私のスマホに着信がありました。
見知らぬ番号ですが、着信音が切れないので恐る恐る出てみると、新しい先生のところの看護師さんでした。
看護師さんは、契約書等の事務手続きや、診療費のことなどをお話されてから、私に尋ねられました。
お母様のことで気になっていることはありませんか?
自分では勝手に色々想像したり悩んだりしているくせに、いざ聞かれると「えっ」と即答できない私
それでも
施設に入ってからはずっと体重が減り続けることを話しました。
こんなこと言ってもいいかわかりませんが・・・と前置きをしてから、精神科の薬を飲んでからの母の状態が悪く見えて、母にとって良い薬には思えないと話しました。
それでも施設に預けていて、母の日頃の状態を見てない立場では薬を止めて欲しいとは言えないこと、今回新しい先生に訪問診療していただくことになったのも、精神科の薬を処方してもらえるからという理由が一番の理由だったことなど‥
何でも話して下さい
と言って下さった看護師さんに甘えて、私の中でくすぶっていた思いを話しました。
看護師さんは、
先生に一度診察をしてもらって、その薬が本当に必要かどうか先生に判断してもらいましょう。これからも、気になる事や相談したいことがあれば、この電話番号に24時間いつでもかけてきてくれていいんですよ。私が出ますから。
と言って下さいました。
どうして、期待していない時に限って、期待以上のことが起きるんでしょう
私は新しい先生や看護師さんに今の状況を何とかしてもらいたいなんて思ってもおらず、ただ精神科の通院がなくなるだけで、これまでのことが引き継がれるだけだとしか思ってはいなかったのです。ただ、看護師さんの言葉が嬉しくて、薬のことよりも、これから先、こんなにも優しく母をかけてくれる看護師さんがいて下さることに喜んでいました。ですが、数日後、
施設職員さんから、内科の薬以外の薬(精神科)は全てなくなりました(飲まなくてよくなりました)
という報告を聞きました。
私の訴えが影響したかどうかはわかりませんが、母を診た先生が「薬は止めてもいいだろう」と判断して下さったとのことでした。
母が認知症で、進行が止まらなくて、家族で世話をしていない以上、精神科の薬を止めることはこの先ないんだろうと思っていたのに、思いがけなく希望が通ったのでした。
大喜びした私でしたが、
母は薬を止めても前のように元気になることもなく、また不穏で攻撃的になることもなく
薬を飲んでいる時と、何も変わらないようでした。
施設長さんも、職員さんもみんな「落ち着いてらっしゃいます」と口を揃えます。
これは薬の効き目がいまだに続いているのか、逆にそもそも薬は何の関係もなかったのか、
一体、あの薬は何だったんだと思いながら3週間ほど経ちました。
散歩に連れ出した母が、私と同じスピードで施設の玄関からサッと一歩を踏み出したのです。
えっ?と思って母を見たら、その後もスイスイと歩いているのです。この前までしていた、地面を擦る様な歩き方をしないのです。
お母さん!めっちゃ歩くの速くなったやん!どうしたん!
と驚く私に、母は笑いながら
今日はズボン1枚減らしてきたんよーもちろん関係なし
と言い、少ししてから
あんた、速く歩けるやんかー
と私に言いました。
母は自分に言われた言葉を後で繰り返しがちです
その後も母は、以前と同じ・・とまでは行きませんが、比較的早いスピードでの歩行を続けています。
薬との因果関係はわかりませんが、体重記録を見ると、初めて体重が少し増えていました。
母の体にはまだ元気が残っている!!
それがわかり、とても嬉しかったです。
その後、また普段の生活の中で少し不穏な状態が出始めたらしく、(施設の人が言うには)今までよりは軽い薬を処方され、その都度症状に合わせて飲むようになったとのことです。
この先はまたどうなるかわかりませんが、
家族が思っていることを言うことは、一つのきっかけになったのかもしれません。
母のことは見続けないと変化にすら気づけないし、
施設に預けていても、普段から家族としての関わりをもっていないと、意見をいう事すら憚られる気持ちにもなります。
家族としての目線で、母を見守られるように、今後も母から目も心も離さないでいたいと思います。
もちろん、自分の生活も大切にしながら