母が精神科で薬を処方されてから、すっかり衰弱して、一気に弱った母。
私は面会に行くと必ず散歩に連れ出すことにしました。外食や実家に連れ出すと少しは歩かせることになりますが、施設内での面会だと、座っているだけなので
積極的に運動させてほしいとお願いはしてますが、母だけ散歩というのも人手が足りない事情もあり、とても無理なようです。
目が虚ろな母を連れて歩き出すと、母は突然立ち止まり、
キレイなオレンジ色やなー
と言いました。
虚ろな目の奥に微かな笑顔
見ると他所のお宅の前に停まっている車
画像はお借りしました
ほんとキレイなオレンジ色やなー
と私は答えました。
母は柿やミカンのオレンジ色も褒めて、
オレンジ色が輝くようなマリーゴールドも愛でて、散歩を終えました。
後日、精神科の受診で、
診察室に入って、ヨロヨロと先生の前に座った母は
先生、素敵な椅子ですねー
と開口一番に笑顔で褒め言葉
先生は、「褒めていただきまして、ありがとうございます。ところで◯◯さん、この椅子は何色ですか?」
気持ち良く褒めているところにいきなりの出題
母は答えられるのかと注目していると
バイオレット!キッパリ
ば、ば、バイオレットぉ〜
なぜ英語
なぜパープルではなくバイオレット
先生は
おぉーと少し驚き、他の質問に移りましたがこの日はすこぶる順調と判断されたようで、薬の追加もありませんでした
ちなみに椅子はイメージではこんな感じ
お母さん、なんで英語で答えたん?
って聞くと
日本語で言いたくなかったんよ!!
あ、そうなんですね
キレイな色を見て
キレイだと思える心が
母の中に残ってくれてることが嬉しい。
その日、母は私の着ていたニットを
キレイな色やなーと
私の袖口を撫でながら褒めてくれました。
ブルーグレーのユニクロのニット
「ユニクロのやで」
と言うと、
「ユニクロ?!」
いいの、いいの
ユニクロなんて、わからなくていいよ。
お父さんとよく行ってたけどねー
昔から中間色を着るとよく褒めてくれました。
初めて着ていく服は、必ず
「この服、新しい服やな」と言ってくれました。
キレイな色をキレイだと思える心が
母から消えてしまいませんように。
どうかどうか、
このままでいてくれますように
あ!
「美味しい」の心も大事だった