高級スーツを中心とした米国の老舗ブランド、ブルックスブラザーズの経営破綻が一つの象徴的なできごと★

 

コロナ禍以前に戻るのではなく、環境問題により力を入れる「グリーンリカバリー」が、欧州などの復興政策では柱に据えられ、衣服の世界でも同様の動きが強まっています。

 

世界の水質汚染の20%は染色などファッション業界が原因とされています。化学繊維の洗濯で、大量のマイクロファイバーが海洋に流出しているとも推定されています。

 

大量廃棄も問題です。

売れ残りの新品も含まれます。ファストファッションなど、使い捨ての傾向はCO2の排出もそれだけ無駄に増やします。

 

安さを求めることは、深刻な問題をはらんでいます。

賃金の安い途上国などでの過酷な労働に支えられているのです。労働者の多くは女性です。現在も中国・新疆ウイグル自治区における人権侵害が国際的な問題となる中、同地区産の綿花の使用を巡り、ファッション産業は対応に揺れています。

 

フランスの社会学者ジャン・ボードリヤールは「消費社会の神話と構造」で人と違っていたいという欲求から消費という行為にとらわれる現代人の姿を描きました。誰がどうやって作るかは意識から消し去られます。

 

限りのない欲望が生産量をさらに膨らませるサイクルを止めるのは、着る側の想像力かもしれません。服が作られる途中で誰かを泣かせていないか。海や大地を痛めつけていないか。そんな思いを巡らすことが、買う物を選び、一つ一つを大事にすることにつながります。

 

服に限らず、お気に入りの物と向き合って、どうやってできたかという見えるルーツと、作り手の意思という見えないルーツを想像してみることは重要ですね。