魔人様宅のお罠にダイブさせていただいてます♪

リク罠リスト&逆引きドボン作品記録<4> 
【リク罠136】「世界の平和(仮)プロローグ」 より



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☆☆☆

 

あの、キョーコちゃんと『光くん』の疑惑の日以来、蓮はキョーコちゃんの馬の骨退治によりいっそう精を出していた。 

 

「京子ちゃん、収録の後でごはんでも行かない?」

なんてセリフを耳にすれば、そのやたらと長い脚で颯爽と近づき

「最上さん、今夜の晩御飯は何作ってくれるの?」

ラブミー部の依頼で食事の用意をしてもらってるだけなのに、意味深に囁いてみたり…。

 

「最上さん、制服のリボンが曲がっているよ」

なぁんて言いながら周りに人が大勢いる前で、えろくさい手つきで彼女のリボンをほどいてみせたり…。

 

 

☆☆☆

 

例の光くん』は、タレント部イチ押しの3人組〖ブリッジロック〗のリーダーだとわかった。 

3人とも苗字が〖石橋〗だから、おそらくキョーコちゃんは彼を名前で呼んでいたんじゃないかと思う。 

 

そう蓮に伝えても、やはり彼女に名前で呼んでもらえている『光くん』は気に入らないらしい。 

 

それにしても、いくら探っても彼とキョーコちゃんの間に共演の過去はなくて、どこで接点を持ったのかは未だに謎だ。

もしかしたらラブミー部の依頼か?とも考えたが、さっぱりわからない。 

 

 

そんなある日、蓮にバラエティ番組の出演依頼が舞い込んできた。

番組名は〖やっぱきまぐれロック〗。

そう、『光くん』がリーダーを務めるグループがMCの番組だ。

次の連続ドラマに出演する蓮は、番宣の為に呼ばれたのだ。

 

「蓮、どうする?」

 

「出ますよ。俺もプロです。仕事に私情は挟みません」

 

蓮君、顔と言葉が一致してないよ。

なにその親の敵と対峙するみたいな雰囲気。

 

タイミングの悪い出演依頼に、俺の胃がまたチクリとした。

それに…

 

(少しでも魔王様のお怒りを鎮めるため、キョーコちゃんに今夜の夕食お願いしようかな…)

 

 

その夜、キョーコちゃんに食事の依頼をしたと蓮に伝えると、バッサバッサと仕事を熟して帰って行った。

ポーカーフェイスを装っていても、その後ろ姿はまるで大きなまっくろわんこがご主人様に会えるのを楽しみにしてるかのようだった。

律儀に俺をマンションに送り届けてはくれたけど、いつもより50メートル手前で降ろされた。

 

 

そんなに楽しみなのか…。

 

 

☆☆☆

 

『きまぐれロック』収録当日。

テレビ局の控室に入った蓮は無言だった。

重~い空気。

室内の重力が地球じゃなくて闇の国仕様になってるんじゃないかってくらい…。

 

キリリッ

痛っ。

 

そんな空気の中、不意に一点を見つめていた蓮が突然立ち上がった。 

 

「れ、蓮?どうした?」

 

「今…最上さんの気配が…」

 

「は?気配??」

 

そう言うや否や、控室の扉をそっと開ける。

 

「えっと…光さんがお茶で、雄生さんがコーラで慎一さんは…」

 

「京子ちゃん手伝うよ!」

 

(ほ、ホントにいた!!?)

 

蓮に搭載されているキョーコちゃんセンサーに恐れを成す。

 

どうやら買い出しに出掛ける様子で籠を持ったキョーコちゃんと……それを追いかける『光くん』~!!?

並んで局内の廊下を歩く二人。 

 

「社さん…今日の最上さんスケジュールは?」

 

「はっ!今日は一日事務所でラブミー部の活動だと…」

 

「さっきの最上さんは幻ですか?彼女に会いた過ぎて俺は幻聴と幻覚を見てますか?」

 

「いえ…俺にもキョーコちゃんが見えました…」

 

キョーコちゃん、なんでこんなところで光くんと一緒にいるの!!?

 

 

チクチク

キリキリ

 

うぅぅぅっ

 

☆☆☆ 

 

 

いくら相手が太めの馬の骨でも、蓮もプロだ。

収録中はにこやかにいつもの『敦賀蓮』として熟している。

 

 

収録は進み、次はトークコーナー。 

 

『さぁっ!続いてはゲストのプライベートを暴きに暴く、トークのコーナー!!』

 

ブリッジロックの元気な掛け声とともに始まったそのコーナーは、視聴者からの質問を中心に展開される。

 

『まずは、答えやすい質問から…。敦賀さんの好きな食べ物は何ですか??』

 

『オムライスです』

 

『えらいカワイイのが好きなんですねぇ』

 

食に全く興味のない蓮が即答…?

 

『最近、食べました?』

 

『ええ昨夜』

 

あ、キョーコちゃんに作ってもらったのね…。

昨夜のことを思い出したのか、蕩けるような笑顔で答える。

 

『うっわ…その笑顔は反則ですよ…。そんなに好きなんですか?オムライス』

 

蓮の笑顔に赤面しながら、光くんが質問する。 

 

『ええ。とっても美味しいオムライスを作ってくれる方がいて…。その人のオムライス限定ですけど』

 

ひぃっ!!

蓮の目がキラリと鋭く光った!

案の定、光くんはビクリと肩を震わせる。

 

(れぇ~んくぅ~ん!私情が顔からはみ出してる!!)

 

『そ、それでは次の質問です!敦賀さんは芸能界で誰と仲良しですか?』

 

『う~ん…やっぱり同じ事務所の京子さんですかねぇ』

 

『え…?』

 

はぁぁぁ~!!?

打ち合わせでは、今共演中の貴島のはずだったのに!?

 

ガシャンッと、食器のぶつかる音がした。

奥でニワトリが慌てて謝る身振りをしてる。

 

横に立つ、ブリッジロックのマネージャーが「どういうことか?」と目で合図してくる。

ははは…。

とりあえず笑ってみた…

 

『き、京子ちゃん…ですか?』

 

『ええ』

 

頼む『光くん』!

どうにか穏便に番組を進行してくれっ

 

 

キリリ…










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