こんばんは。
mamiです。
短編です。
タイトルに惑わされないでください(笑)
本当にふざけたお話ですよ?(^_^;)
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あのころの君は
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「なんっっっっだぁぁぁ!!これはぁぁぁ!!?」
都内某区、とある芸能プロダクションの会議室にて、一冊の雑誌を両手で握りしめた男の叫び声が響いた。
★★★
「おはようございます。敦賀さん」
軽いノックの後、控室の扉の隙間から俺の担当俳優である敦賀蓮の『恋人』、最上キョーコちゃんが顔を出した。
「キョーコちゃん!おはよう」
控室の入り口に駆け寄り扉を開けて出迎えると、「ありがとうございます」と鈴のようにコロコロとした可愛い声と笑顔で俺に微笑みかけ、遠慮がちに中へと入ってくる。
「蓮くん痛い。視線が痛い」
背中に痛いほどに突き刺さる鋭い視線。
住んでる部屋も体型も、年収だって業界での地位だって最大級にビッグな担当俳優の究極にちっちゃい心は、愛しい『恋人』キョーコちゃんの笑顔のひとつだって他の男にくれてやりたくないらしい。
「あ…すみません。つい…」
ついうっかりで視線だけで抹殺されたら、いくら俺でも浮かばれない。
「ところでキョーコちゃん、今日は夕方からこの局で収録だよね?それにしては入り時間早くない?」
世話の焼ける弟…もとい担当俳優の精神の安定と俺の心の安寧の為、キョーコちゃんのスケジュールはばっちり把握済みだ。
「あ…はい。本当はもっと遅くてもいいんですけど…今日は敦賀さんもこちらでお仕事だって聞いたので、お昼ご飯をご一緒させていただこうと思って…」
もじもじと恥じらいながら、胸元でお弁当のバッグを抱えるキョーコちゃんが頬を染めながら蓮の方に視線を向ければ、その先には蕩けるような笑顔で微笑む蓮の姿。
(はいはい、二人で約束してたのね)
キョーコちゃんがテーブルの上に弁当を広げはじめると、蓮がいそいそと準備を手伝う。
ここが控室だということを忘れて、まるで新婚家庭についうっかり入り込んでしまったかのような居た堪れなさだ。
「社さん、準備が出来ましたよ?」
キョーコちゃんの声に我に返ると、テーブルの上には所狭しと色とりどりの美味しそうな弁当が並んでいる。
小食の蓮を気遣い、少しずつたくさんの種類のおかずを作るのはさぞかし大変だっただろうと、俺は心からキョーコちゃんを労った。
「前日の夕食の支度と一緒に下ごしらえをするので、実際はそんなに大変じゃないんですよ」
そう言って微笑むキョーコちゃん。
「昨夜ハンバーグを随分多く作っていると思ったら、今朝にはこんなふうにアレンジされていて…すごいな…」
心底関心しておかずを眺める蓮。
ふぅ~ん。
昨夜も今朝も一緒にいたわけねぇ~。
相変わらず仲がよろしいことで。
食事の前からなんかもう軽い胃もたれを起こしかけたけど、三人で弁当を食べ始める。
穏やかに過ぎるランチタイム。
の、はずが……
バンッ……!!
さっきから随分廊下が賑わっているなと思っていたら、いきなり控室の扉が乱暴に開けられた!!
「おいっ!!キョーコ!!!」
「んなぁっ!!?」
ふ、不破!?
ズカズカと遠慮の欠片もなく入ってきたのは、その綺麗な外見から、見た目だけの歌手かと思いきや、音楽に関しては一切妥協しないその姿勢と持ち前の才能と周りを納得させる実力で、今や日本を代表するミュージシャンとも呼ばれる、不破尚。
そしてキョーコちゃんの幼馴染であり、蓮にとっては最大級の馬の骨。
そんな不破が突然蓮の控室に乱入してきたんだから、キョーコちゃんは驚きと怒りで箸を握りしめてるし、蓮は闇の国から黒い影を引っ張り出してるし…
「ふ、不破君!?何か用かなっ!?」
慌てて立ち上がり用件を聞く俺と、キョーコちゃんを庇うように後ろに隠す蓮。
不破はそんなのお構いなしに、その長い脚でキョーコちゃんの前までたどり着くと、手に握りしめていた雑誌を彼女の目の前に突き出した。
「なんっなんだよ!コレは!!」
不破の手に両端を握りしめられ皺の寄った雑誌には、どうやら先日行われたキョーコちゃん初主演映画の製作発表会見の記事が掲載されていた。
「はぁ?映画の製作発表の記事だけど?」
何が言いたいのかわからないといった表情で、キョーコちゃんは首を傾げる。
「俺が言いたいのはこの格好だっ!!」
今回の映画ではキョーコちゃんは実年齢より少し大人の女性を演じる。
そのため記者会見のキョーコちゃんは、普段よりも身体のラインが出やすい大人テイストなドレスに身を包み、ミスウッズの手によって妖艶な美女に変身していた。
(このキョーコちゃんの姿を見た蓮が、ニコニコしながら極寒の冷気を身に纏ってたんだっけ…)
思い出すだけでもぶるりと背筋が冷え、胃がきりりと締め付けられる…。
想いが通じ合い付き合い始めた今でも、自分の魅力に無頓着なキョーコちゃんは時々蓮の地雷を踏む。
その度に俺は胃痛を堪えながら蓮を宥めているというのに、今日はとんでもない方向から爆弾が飛んできた。
「おっまえ~!!いつの間にこんなエロい身体つきになったんだっ!!昔と違うじゃねぇかっ!!」
「「っぶぅっ!!!?」」
なっ、なっ、なっ……!!?
思わず噴き出した俺とキョーコちゃん。
そして無言で凄まじく黒い闇に身を包む蓮。
「なっ、なに言ってんのよ!?」
「昔は完全な幼児体形だったくせに、いつの間にこんなことになってんだ!?」
「はぁぁ~!?一体いくつの頃のことを言ってんの!?あんたが私の体形知ってるのなんて、せいぜい小学校低学年まででしょうが!!」
「うるせぇ!この破廉恥娘め!!」
ギャンギャンと騒ぎ立てるキョーコちゃんと不破に目を奪われていた俺だけど、後ろからそら恐ろしいほどの冷気を感じた。
(こ、こわ…。振り返れない…)
普段なら蓮の感情の機微に敏感なキョーコちゃんも、不破との言い合いに夢中で気づいていない。
そんなキョーコちゃんをそっと後ろから抱きしめるように包み込んだ蓮は、優しく彼女の口を掌で塞ぎ、キュラキュラとした似非紳士スマイルで言い放った。
「不破くん、締め上げられるのとかち割られるの、どっちがいい?」
は?首!?脳天!?どっちもやばくない!?
「言っておくけど、キョーコのもっと破廉恥な姿は俺だけのだから」
「「なっ!!?」」
真っ赤になって固まるキョーコちゃんと俺。
怒りで震える不破。
もうひと騒動起きそうな一触即発の状態を破ったのは、不破を探すマネージャーからの着信だった。
「チッ!はい。あぁ…わかったよ。…おい!俺は絶対認めないからな!!」
そう言って不破は出て行ったけれども、今度は残されたキョーコちゃんが蓮に掴まっていた。
「ねぇキョーコ。キョーコの身体がどんなふうに変わったのか、俺にも教えて?」
今夜お風呂でゆっくりね?
なんて満面の似非紳士スマイルで言い放っている担当俳優。
後輩の女の子にこんなセ○ハラ発言。
会社のコンプライアンス的には大丈夫か?
あ、付き合ってる恋人同士ならいいのか…。
俺はキョーコちゃんの作ってくれたお弁当を味わうことだけに全力で集中することに決めた。
∞∞∞***∞∞∞
なんですかね、
我が家の蓮さんは、どうやらしょっちゅうキョーコちゃんとお風呂に入りたがりますね(笑)
ワンパターンしか書けないみたいです(*v.v)。
さて、『隠した想い…』があと1回で終わります。
そして、もうすぐ我が家も1周年!
記念に書くお話は決まってます。
私らしく1周年を迎えられたらと思っています。
あ、でもその前に大好きな某様の1周年プレゼントも書きたいな♡