こんばんは。mamiです。

このようなところまでお越しくださって、本当にありがとうございます。

おかげさまで、このブログを開設してから今日で半年を迎えることができました。

全ては、いつも優しくしてくださるマスター様、読みに来てくださる皆様のおかげです。

コメントやいいね、メッセージがとても励みになっております。

さて、今日は半年記念として我が家初の『パラレル』に挑戦しました。
イロイロと突っ込みドコロ満載ですが、どうにか広い心でお許しくださいm(_ _)m






.。.:* ♬*゜君と過ごすコーヒータイム〈前編〉.。.:* ♬*゜


敦賀蓮には、最近お気に入りのカフェがある。
その店のコーヒーは、酸味が少なく香り高い、芳醇な味わいのブルーマウンテン。
焙煎具合も蓮の好みだった。

2ヶ月前、家の近くで偶然見つけたカフェ。
たまたまテイクアウトしたコーヒーが蓮の好みにバッチリと当てはまり、それ以来毎朝のようにテイクアウトしている。


蓮の朝の楽しみは2つ。
ひとつは、おいしいコーヒー。
もうひとつは、最近そのカフェで新しく働きはじめた店員。
綺麗な姿勢と丁寧なお辞儀。
はきはきと笑顔で喋るその声は、澄んだ朝の空気と相俟ってとても心地いい。

いつしか出勤前にカフェに寄る事が、蓮の日課になっていた。




***


都内にあるダイニングバーで、蓮は慰労会と称した飲み会に参加していた。

社を挙げての一大プロジェクトの成功を祝って行われたその飲み会は、営業企画部の部長である松島の一声で、全員参加が義務付けられていた。
大きなプロジェクトだっただけに、社員たちはプロジェクト終了の解放感からかなりの盛り上がりを見せていた。

蓮の座るテーブルは、ここぞとばかりに蓮に近づこうとする女子社員達に取り囲まれている。

190センチを超える長身と、日本人離れした手脚の長さ。
まるで芸術品のように整った容姿とさらさらの黒髪。
そんな恵まれすぎた外見にも関わらず、誰に対しても変わらぬ態度で接する人柄。
そんな蓮は、当然のように社内の女性の注目の的だった。

寄ってくる女子社員達の勢いに困惑しなが
らも愛想よく対応していると、今回の慰労会の発起人でもある上司が遅れて到着したため、女子社員達は名残り惜しげにしながらも、上司の元へ挨拶するため蓮から離れていった。

ふぅ…。と静かになった周りに、安堵のため息を漏らした蓮がグラスを傾けていると、同様に先程まで女子社員に囲まれていたもう一人の男、貴島が向かいの席に座った。

「到着早々女の子達に囲まれて、モテる男は大変だねぇ」

ニヤリと笑いながら冗談めかして話しかけてきた貴島は、蓮とは同期入社の同僚である。

「貴島くんだってそうでしょ?」

そう言い返すと、「まぁねぇ~」と呑気に貴島が応える。

事実、貴島も蓮ほどではないが、スタイルも良く整った容姿を持ち、女性に対しては特にその笑顔と持ち前の明るさとマメさでとてもよくモテる。

仕事に関しては決して一切妥協を許さず、優秀な成績を残す二人は、部内だけに留まらす社内でもかなり競争率が高いのだ。

「女の子は俺の癒やしだからねぇ~。
……敦賀くんはさぁ、あんまり興味ないの?」

「そんなことないよ」

明るくてノリのいい貴島は男女問わず人気がある。
さっきまでいた席で同僚達からかなり飲まされたらしく、既に少し酒がまわっている。

「合コンに誘っても、全然来てくれないしさぁ。
敦賀くんがいるのといないのじゃあ、女の子の反応が全然違うんだよっ!?」

「はははっ…」

「気になる娘でもいるの?」

「う~ん……」

ふと、毎朝カフェで会う店員の顔が頭を過ぎった。

「へぇ~。いるんだ」

面白い事でも見つけたかのように笑う貴島をなんとか誤魔化していると、上司に挨拶を終えた女子社員達が戻ってきた。

「お二人で何をお話ししてたんですかぁ?」

「え~?オトコ同士のヒ・ミ・ツのはなし~!」

そう言って話しかけてきた彼女達に、笑いかける貴島は心底嬉しそうだった。




***


慰労会が終わり二次会に誘われた蓮は、酔いつぶれた貴島を連れて帰ることを口実にして、他のメンバーや残念そうにしている女子社員達と別れた。

普段は女性の前では決して酔った姿など見せない貴島だったが、この日は同僚たちからの強い勧めと、ノリの良さが災いして珍しく許容量を超えてしまったようだ。


どうにか本人から聞き出したマンションまでタクシーで送り届けると、教えられた部屋には灯りがついていた。

(……誰かと暮らしているのか?)

貴島が一人暮らしだと思い込んでいた蓮は、戸惑いながらインターホンを鳴らす。

『は~い』

聞こえてきたのは女性の声。
しかも…

(この声、どこかで聞いたような……?)

蓮が名乗ると、程なくして中から一人の女性が出てきた。

「すみませんっ!兄がご迷惑をお掛けしまして………あれ?」

玄関の扉から現れた女性を見て、蓮の記憶はハッキリと繋がった。

「あ……カフェの……!?」


貴島の妹だと名乗る女性は、蓮が毎日のように通うカフェの、あの店員だった。