お付き合いをはじめて3ヵ月。

お互いに忙しくしている身では、二人きりで会える回数も多くないけれど、それでも少しずつ距離を縮めている。

お付き合いの先にそういう事があるのはわかっている。
同年代の女の子達が集まる現場では、その手の話は日常茶飯事だし、モー子さんと天宮さんからも教えてもらった。

まだまだ自分には遠い世界だった事が、急に現実味を帯びてきた頃、敦賀さんから告げられた言葉。

『そろそろ俺達、次のステップに進んでみない……?』

正直、なんの覚悟も出来ていなかったけど、深く求められたキスと、敦賀さんの熱い瞳に、ふわふわした気分で思わず頷いてしまった。

早まった!?と焦ったけど、嬉しそうに笑みくずれた敦賀さんの顔に安心した。
敦賀さんに触れられるのは、恥ずかしいけど嫌じゃない。
むしろ……。

その後も続いた敦賀さんからの長い長いキスに、頭がボーッとして半分意識が飛んでいたんだと思う。
気がついたら敦賀さんの寝室のベッドの上。

「いいの?」

「………はい」

確かめるように聞かれた声に返事をしたのは覚えている。

今までに感じたことがないくらいの熱い吐息、荒い呼吸。
夢中で敦賀さんからのキスに答えていたら、いつの間にか着ていたものは殆ど身に纏っていなかった。

敦賀さんの手がささやかな胸の膨らみに触れた瞬間、我にかえった。

「っきゃぁぁぁっ!!?」

あわあわと慌ててシーツに身を隠した。
私っ…なんて格好を!?

「リビングにいるから、着替えておいで」

そのシーツ越しに優しくキスをくれた敦賀さんは、部屋から出ていった。

少しホッとして辺りを見回すと、ベッドの上や足元に散らばった自分の衣服や下着が目に入る。

そのあまりにも生々しい光景にボボボッと赤面しながら服を掻き集め身につけると、リビングに向かった。



***


「ゆっくり、進めていこう」

バスルームから戻ってきた敦賀さんは、そう言ってまたキスをしてくれた。

それ以来二人になると、今までよりも濃厚なスキンシップが増えた。

初めは自分のツルンペタンな身体を見られることが恥ずかしかったけれど、少しずつ少しずつ探るように触れてくる敦賀さんの手に、戸惑うだけだった私の身体は次第に反応し、熱を持つようになってしまった。
敦賀さんが離れると、隙間ができたみたいに残念に思う。

そんな風に行為に感じるようになった自分。
私、その先を期待してる……?



そう思った矢先、敦賀さんがあまり私に触れなくなった。

……キスは、する。

唇を重ねて、優しく吸われる。
合わせた唇を敦賀さんが舌で軽くつつくと、それは口を開く合図。
躊躇いながらも小さく口を開くと、敦賀さんの舌が入ってくる。

いつもなら、そこから苦しいほどに深く舌を絡ませるのに……。
私がキスに夢中になっている隙に、その細くて長い指が服の中に侵入して……。

いつの間にかそう期待するようになった私。
なのに敦賀さんは、優しく舌を吸い、服の上からそっと私を撫で擦るようにするだけで止めてしまう。

(もう少し……)

そのことに私は、物足りなさを感じるようになってしまった。


そんな事が何回か続いたある夜。
やっぱり控えめなキスと触れ合いに、物足りなく感じてしまう恥ずかしさと、飽きられてしまったのかと過る不安で胸がいっぱいになり、涙がこぼれた。

「キ、キョーコ!?どうしたの?…嫌、だった?」

慌てた様子の敦賀さんに、私はただ首を横に振るばかり。

「ごめん…。無理に先に進めるつもりはないんだ。
キョーコが嫌がることはしないよ」

そう言って控えめに抱きしめてくれる長い腕にさえ寂しくなって、私から敦賀さんに抱きついた。

「……違うんです。……敦賀さん……私に飽きてしまいましたか?」

「え……?」

「だって……前よりも私に触れてくれなくなりました…。
私が…もっと触れて欲しいと思ったからっ…。
そんな破廉恥な私に呆れてしまったんです……かっ!?」

言葉の途中で私の背中に回っていた手が、強く強く私を抱きしめた。

「キョーコ…もっと、して欲しいと思ってくれたの?
そんな可愛いこと言われたら、もう……逃さないよ?」

耳元で囁かれた敦賀さんの声と吐息は、あの初めてベッドルームで感じたそれよりも、もっともっと熱くて……。

私も敦賀さんの背中に回した腕に力を込め、何度も頷いた。



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次は限定……かな?←まだ一文字も書いてないけど|д・) ソォーッ…