ごめんなさいm(_ _;)m
敦賀さんがヘタレな上に器の小さい男になってしまいました。
それでも宜しければ、下記よりどうぞ……
|д・) ソォーッ…







「蓮~!!おっまえ~!キョーコちゃんになんて事したんだぁ~~!!」

バンッ!!っと珍しく荒々しい音を立てて社が会議室のドアを開けた。

律儀な彼は、事務所内の至るところに貼られた【廊下は走ってはいけませんっ!】と言うポスター(ちなみにポスターのモデルはラブミー部員)の約束を守って、廊下を走る寸前くらいの早歩きのまま、空き会議室で待機していた蓮の元までやって来た。
早歩きで息が上がったのか興奮して息が上がったのかは定かではないが、いつもは知的にキラリと光る眼鏡も少々曇っている。

「………は?」

心当りのない蓮は、突然ぶつけられた怒りに対して随分と気の抜けた返事を返すのみ。

「『……は?』っじゃないっ!!無垢で純情乙女なキョーコちゃん相手に……聞いたぞっ!!」

「何を聞いたんですか?」

「昨夜キョーコちゃんと電話で話した時、お前に身体を触られたって言ってたぞ!」

「……電話?」

興奮冷めやらない社は、迂闊にも蓮から発せられる冷気で周りの温度が下がったことに気が付かない。

「そうだっ!キョーコちゃんから電話もらった時の声で様子がおかしかったから聞いたんだよっ!
服の中に手を入れられたって……。その上キョーコちゃんの脇腹撫でたんだって~!?」

「……最上さんから電話?」

「全く!俺の大事な妹的存在のキョーコちゃんに、なんて不埒な行いをっ…………え?」

「……俺の大事な?……『俺の』??」

会議室に飛び込んだ勢いそのままで捲し立てていた社だったが、ようやく蓮の不穏な空気に気づく。

(しまった!!俺としたことが、蓮のキョーコちゃんに対する破廉恥行為に頭がいっぱいで気付くのが遅れたっ!!)

「ひいぃぃっ!」っと冷や汗を流して怯えるが後の祭り。

「……別に、いやらしい目的で最上さんに接した訳ではないんですよ。ただ、随分と心許ない衣装を着ていたから、中がどんな状態なのか確認しただけです。脇腹には偶然触れただけですよ。」

「……蓮くん、さすがに先輩…しかも男は確認と言えども服の中に手を入れたりはしないぞ」

怯えながらも、なんとか常識人の社がツッコミを入れる。

スッと綺麗な仕草で蓮か立ち上がり、社の元に歩み寄る。

「社さん」

「は、はい……」

誰もが赤面したり卒倒したりするような極上の笑顔で語りかける担当俳優。
だが、マネージャーで彼の感情の機微を瞬時に見破れる社には、闇の国から大魔王が降臨したようにしか見えなかった。


「昨夜、最上さんから電話もらったんですか?」

「あ、あぁ…。最近お前が痩せたんじゃないかってキョーコちゃんが心配してくれて……筋肉量の比率がどうのって言ってた……」

「そうですか。最上さんが……」

(あ…、ちょっと空気が和らいだ…)

ホッとするのも束の間、あの似非紳士な笑顔がパワーアップして社に向けられる。

「社さんさっき、俺の大事な妹って言いましたよね?」

「い、いやだから…。蓮もキョーコちゃんも俺にとっては大事な弟と妹みたいに思ってて……」

言葉尻を取り上げて詰め寄る蓮に、社は必死に言い訳をする。

「大切に思ってくれてありがとうございます。でも、『俺の』とは二度と言わないでもらえますか?」

「……(細かい所まで嫉妬深いな)」

「今、細かい所まで嫉妬深いなって思いました?」

「ひぃっ!?そ、そんな事はっ……」

一言一句違わずに心理を読まれた社はそのフォローに必死だ。
結果、二度とキョーコに対して『俺の』とは言わないように固く約束させられた。


(まったく……。そんなに嫉妬ばっかりするなら、さっさと告白しろよ~~っ!!)


**

昨夜『敦賀さんに触られるの、嫌じゃないんですっ!私っ…どうしたらいいですか!?』
なんてこっちが赤面しそうなお悩みを社に暴露したキョーコ。

(実は両思いなのに、なんでこの二人は全く気付かないんだ!?)


社の心の叫びは誰にも届かず、彼は今日も胃薬片手に担当俳優と行動を共にする。





∞∞∞∞***∞∞∞∞

三人称……難しいですね。