今日8月15日は終戦記念日です。

記念日というのは違和感がありますが、あれから80年。

人々は新型コロナの脅威に怯え、意見は分断され、見苦しくも戦っています。

あの時、日本人が守ろうとしたものはいったいなんだったのでしょうか?

いまこそ、原点に戻り一致団結してこの苦難を乗り越える必要があると思います。

 

あの時の悔しさ、やるせなさを改めて玉音放送で追ってみたいと思い立ちました。

今回は「原文」「読み下し」「意訳」の三つを併記してみました。

 

昭和天皇の玉音放送は本土決戦を目論む陸軍の目を盗んでラジオ放送されたそうです。

この玉音放送がなければ、更なる悲劇が生まれたことでしょう。。

国民を想うお気持ちからのご英断に心より感謝申し上げ、お気持ちを振り返ってみることにしました。

 

【玉音放送】 (終戦の詔勅) (1945年8月15日正午)

 

朕深ク 世界ノ大勢ト 帝國ノ現状トニ鑑ミ

非常ノ措置ヲ以テ 時局ヲ收拾セムト欲シ 

茲ニ忠良ナル 爾臣民ニ告ク

 

ちんふかく せかいのたいせいと ていこくのげんじょうにかんがみ

ひじょうのそちをもって じきょくをしゅうしゅうせしむとほっし

ここにちゅうりょうなる そのしんみんにつぐ

 

私は深く、世界の大きな流れと大日本帝国が今おかれている現状を踏まえ

いつもとは違う方法で、この状況を収めたいと思い立ち

ここに忠義の心を持つ国民のみなさんにお話しします

 

朕ハ 帝國政府ヲシテ 米英支蘇 四國ニ對シ 

其ノ 共同宣言ヲ 受諾スル旨 通告セシメタリ

 

ちんは ていこくせいふをして べいえいしそ しこくにたいし

その きょうどうせんげんを ゆたくするむね つうこくせしめたり

 

「私は大日本帝国政府にアメリカ、イギリス、中国、ソ連四国が

共同で出した降伏の条件を受けるように通知しました」

 

抑ゝ 帝國臣民ノ 康寧ヲ圖リ 萬邦共榮ノ 樂ヲ偕ニスルハ 

皇祖皇宗ノ 遺範ニシテ 朕ノ拳々措カサル所

 

そもそも ていこくしんみんの こうねいをはかり ばんぽうきょうえいの らくをともにするは

こうそこうそうの いはんにして ちんのけんけんそかさるところ

 

「そもそも帝国国民の健康と安心を守り、世界中共に栄え喜びをわかちあうことは

歴代天皇家たちが伝えてきた教えであり、私が常々大切にしてきたことです。」

 

曩ニ 米英二國ニ 宣戰セル所以モ

亦 實ニ帝國ノ自存ト 東亞ノ安定トヲ 庶幾スルニ出テ 

他國ノ主權ヲ排シ 領土ヲ侵スカ如キハ 固ヨリ 朕カ志ニアラス

 

さきに べいえいにこくに せんせんせるゆえんも

また じつにていこくのじぞんと とうあのあんていとを しょきするにいでて

たこくのしゅけんをはいし りょうどをおかすかごときは もとよりちんがこころざしにあらず

 

先に米英二国に宣戦した理由も、

また日本の自立存続と東アジア地域の安定を心から願う気持ちから出たものであり

他国のもつ権利をないがしろにしたり 領土を奪うような行為は、

もとから私が目指したものではありません。

 

然ルニ 交戰已ニ四歳ヲ閲シ 朕カ陸海將兵ノ勇戰 

朕カ百僚有司ノ勵精 朕カ一億衆庶ノ奉公 

各ゝ 最善ヲ盡セルニ拘ラス 

戰局 必スシモ好轉セス 世界ノ大勢 亦 我ニ利アラス

 

しかるに こうせんすでにしさいをえっし ちんがりくかいしょうへいのゆうせん

ちんがひゃくりょうゆうしのれいせい ちんがいちおくしゅうしょのほうこう

おのおの さいぜんをつくせるにかかわらず

せんきょく かならずしもこうてんせず せかいのたいせい また われにりあらず

 

そのうちに戦いは既に4年経ちそれを見るにつけ、私の陸海軍将兵は勇敢に戦い

私の多くの役人の精を出した働きも、私の一億人の国民の頑張りも

それぞれ最善を尽くしたのにもかかわらず

戦局は伴ってよくはならず、世界の流れもまた日本に不利な状態です。

 

加之 敵ハ 新ニ殘虐ナル爆彈ヲ使用シテ 

頻ニ無辜ヲ殺傷シ 慘害ノ及フ所 眞ニ測ルヘカラサルニ至ル
而モ尚 交戰ヲ繼續セムカ 終ニ 我カ民族ノ滅亡ヲ 招來スルノミナラス

延テ 人類ノ文明ヲモ 破却スヘシ 

 

しかのみならず てきは あらたにざんぎゃくなるばくだんをしようして

ひんにむこをさっしょうし さんがいのおよぶところ しんにはかるべからざるにいたる

しかもなお こうせんをけいぞくせむか ついにわがみんぞくのめつぼうを しょうらいするのみならず

ひいて じんるいのぶんめいをも はきゃくすべし

 

それに加えて敵は新たに残虐な爆弾(原爆)を使用して、しきりに何の罪もない民を殺傷し

惨澹たる被害が、本当にどこまで及ぶのか測り知れないところまで来ている。

今後もなお戦い続ければ、ついには我が民族の滅亡を招くだけでなく、

そのままいけば、人類の文明をも破滅しかねない。

 

斯ノ如クムハ 朕 何ヲ以テカ 億兆ノ赤子ヲ保シ 

皇祖皇宗ノ神靈ニ 謝セムヤ 

是レ 朕カ帝國政府ヲシテ 共同宣言ニ 應セシムルニ至レル 所以ナリ

 

そのごとくむは ちん なにをもってか おくちょうのあかごをほし

そうそこうそうのしんれいに あやまりせむや

これ ちんがていっくせいふをして きょうどうせんげんに おうぜしむるにいたれる ゆえんなり

 

このような状態で、私は一体どうやって億兆の赤子のような民を守り、
天皇家の先祖の御霊に謝ればよいのだろうか。。

これが私が政府に共同宣言に応じることを命じたにいたった理由です。

 

朕ハ 帝國ト共ニ 終始 東亞ノ解放ニ協力セル 諸盟邦ニ對シ 

遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス
帝國臣民ニシテ 戰陣ニ死シ 職域ニ殉シ 非命ニ斃レタル者 

及 其ノ遺族ニ想ヲ致セハ 五内 爲ニ裂ク

 

ちんは ていこくとともに しゅうし とうあのかいほうにきょうりょくせる しょめいほうにたいし

いかんのいをひょうせざるをえず

ていこくしんみんにして せんじんにしし しょくいきにじゅんじ ひめいにたおれたるもの

および そのいぞくにおもいをいたせば ごない ためにさく

 

私は日本と共に終始東アジアの解放に協力してくれた同盟諸国に対し、申し訳ない気持ちを表さずにいられません。

国民として、戦争に参加して亡くなったり、職業に殉じたり、不運にも戦災に倒れた人、
およびその遺族の気持ちを思うと、内臓が引き裂かれるような思いです。

 

且 戰傷ヲ負ヒ 災禍ヲ蒙リ 家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ 

朕ノ深ク 軫念スル所ナリ
惟フニ 今後 帝國ノ受クヘキ苦難ハ 固ヨリ尋常ニアラス

 

かつ せんしょうをおい さいかをこうむり かぎょうをうしないたるもののこうせいにいたりては

ちんのふかく しんねんするところなり

おもうに こんごていこくのうくべきくなんは もとよりじんじょうにあらず
 

しかも戦争で傷を負い、災禍を被ったり、家業を失った人々の生活の支えについては、

私が天皇として深く心を痛めているところです。
思うに、今後日本を待ち受ける苦難は、きっと並大抵のことではないでしょう。

 

爾臣民ノ衷情モ 朕善ク之ヲ知ル 

然レトモ 朕ハ時運ノ趨ク所 

堪ヘ難キヲ堪ヘ 忍ヒ難キヲ忍ヒ 

以テ 萬世ノ爲ニ 太平ヲ開カムト欲ス

 

そのしんみんのちゅうじょうも ちんよくこれをしる

しかれども ちんはじうんのうもむくところ

たえがたきをたえ しのびがたきをしのび

もって ばんせのために たいへいをひらかんとほっす

 

国民の嘘偽りない本心も、私はよくこれを知っています。

しかしながら、私は時の運の流れを受け止め

堪えがたいことを堪え、我慢ならないことを我慢し

そのようにして これからの先の世のために

平和な世の中を開こうと思っています。

 

朕ハ茲ニ 國體ヲ護持シ 得テ忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚シ 常ニ爾臣民ト共ニ在リ
若シ 夫レ 情ノ激スル所 濫ニ事端ヲ滋クシ

或ハ 同胞排擠 互ニ時局ヲ亂リ 爲ニ大道ヲ誤リ 

信義ヲ世界ニ失フカ如キハ 朕最モ之ヲ戒ム

 

ちんはここに こくたいをごじし もってちゅうりょうなるそのしんみんのせきせいにしんきし つねにそのしんみんとともにあり

もし それ じょうのげきするところ みだりにじたんをしげくし

あるいは どうほうはいせい たがいにじきょくをみだり ためにたいどうをあやまり

しんぎをせかいにうしなうがごときは ちんもっともこれをいましむ

 

私は、ここに国としての形を維持し、忠実で善良な国民の心から信頼し、

常に国民と共に在ります。
もし感情が高ぶって無暗に事件を起こしたり、

あるいは仲間を陥れたりして、時勢を乱したり、そのために人としての進むべき道を誤り

信頼を世界から失うようなことは、私が最も強く戒めることです。

 

宜シク 擧國一家子孫相傳ヘ 確ク 神州ノ不滅ヲ信シ 

任重クシテ 道遠キヲ念ヒ 總力ヲ將來ノ建設ニ傾ケ 

道義ヲ篤クシ 志操ヲ鞏クシ 

誓テ 國體ノ精華ヲ發揚シ 世界ノ進運ニ 後レサラムコトヲ 期スヘシ
爾臣民 其レ克ク朕カ意ヲ體セヨ

 

よろしく きょこくいっかしそんあいつたえ かたく しんしゅうのふめつをしんじ 

にんおもくして みちとおきをおもひ そうかをしょうらいのけんせつにかたむけ 

どうぎをあつくし しそうをかたくし 

ちかって こくたいのせいかをはつようし せかいのしんうんに おくれざらむことを きすべし

そのしんみん それよくちんがいをたいせよ

 

ぜひとも国を挙げて一家の子孫にまで語り伝え、神の国の不滅を確信し、任されたことは重く

道のりは遠いと心に念じ、総力を将来の建設に傾け、道義を厚く育て、志や考え主義などを堅く守り、

誓って日本のあり方・あるべき姿の神髄を奮い立たせ、世界の進歩や向上していく機運に遅れを取らぬよう決意すること。
国民の皆さんは、これら私の想いを理解し体現するのです。

 

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日本が受け入れたのは「無条件降伏」です。

無条件降伏はすなわち、昭和天皇も戦犯で裁かれる恐れがあることを意味していました。

それをご承知の上でのご英断でした。

 

もしそれがなかったら私たちもこの世に存在していなかったかもしれません。

本当に頭の下がる思いです。

ありがとうございました。