第24回鍼灸国家試験 解説(2) 解剖学・生理学 | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

おてがるに、かんたんに、てまひまかけずにできる。そんな春月流の「ちょこっと健康術」。
体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

【解剖学】 

 

問題16 気管内面にみられるのはどれか。

1. 多列線毛上皮

2. 単層立方上皮

3. 単層扁平上皮

4. 移行上皮

 

答え: 1

 

多列線毛上皮は、気管や鼻腔、卵管にみられる。したがって、1が正解。

 

2. 単層立方上皮は、甲状腺の濾胞や尿細管にみられる。

3. 単層扁平上皮は、血管内皮や肺胞にみられる。

4. 移行上皮は、膀胱や尿管、腎盂、腎杯にみられる。

 

 

問題17 頸椎について正しいのはどれか。

1. 生理的後弯がある。

2. 椎骨動脈は第7頸椎の横突孔を通る。

3. 環椎後頭関節は頭部の屈伸に関与する。

4. 環椎横靭帯は歯突起前面を覆う。

 

答え: 3

 

環椎後頭関節は、後頭骨の後頭顆と環椎上関節面との関節。 左右合わせて楕円関節をなしており、頭部を前後に屈伸させる。 したがって、3が正しい。

 

1. 頸椎と腰椎には生理的前弯がある。 生理的な後弯がみられるのは胸椎と仙椎である。

2. 椎骨動脈は第1~第6頸椎の横突孔を通る。

4. 環椎横靭帯は歯突起後面を覆う。

 

 

問題18 関節について正しいのはどれか。

1. 胸鎖関節には関節円板が存在する。

2. 肩関節で関節唇は上腕骨頭に付着する。

3. 腕尺関節は車軸関節である。

4. 手関節で尺骨は舟状骨に接する。

 

答え: 1

 

胸鎖関節は、体幹と上肢を結ぶ唯一の関節である。 その内部は関節円板によって完全に2分され、球関節に近い運動をする。 したがって、1が正しい。

 

2. 肩関節は球関節で、半球状の上腕骨頭と浅い皿のような肩甲骨の関節窩からなる。 関節窩よりも大きく広い関節面を持つ上腕骨頭に対して、関節窩の周縁に付着する線維軟骨性の関節唇は、関節窩をわずかに広げ、深さを追加する役割を果たしている。 

 

3. 腕尺関節は、上腕骨滑車が尺骨の滑車切痕とつくる関節で、蝶番関節である。

 

4. 手関節(橈骨手根関節)で、舟状骨・月状骨・三角骨の3つが共同して楕円形の関節頭となり、浅くくぼんだ橈骨の手根関節面と関節をなす。 ただし、舟状骨と月状骨は橈骨と直接対面するが、三角骨は関節円板に接する。尺骨は関節円板に接し、関節面には関与しない。

 

 

問題19 下肢の骨について正しいのはどれか。

1. 距骨には載距突起がある。

2. 腓骨にはヒラメ筋線がある。

3. 脛骨には粗線がある。

4. 大腿骨には恥骨筋線がある。

 

答え: 4

 

大腿骨には、恥骨筋が停止する恥骨筋線がある。 したがって、4が正しい。 このほかに、大腿骨には、大殿筋が停止する殿筋粗面、中殿筋・小殿筋・梨状筋などが停止する大転子、腸腰筋が停止する小転子、内外の閉鎖筋が停止する転子窩、内転筋群が停止する粗線などがある。

 

1. 距骨には距骨滑車があり、距腿関節の関節頭として働く。 載距突起があるのは踵骨である。

 

2. 腓骨には骨間縁があり、脛骨の骨間縁との間に下腿骨間膜が張る。 また、腓骨の下端外側には外果が突出する。 ヒラメ筋線があるのは脛骨である。

 

3. 脛骨には脛骨粗面があり、膝蓋靱帯が付着する。 また、脛骨の下端内側には内果が突出する。 粗線があるのは大腿骨である。

 

 

問題20 腰三角を構成するのはどれか。

1. 外腹斜筋

2. 腸肋筋

3. 大腰筋

4. 腰方形筋

 

答え: 1

 

腰三角は、外腹斜筋の後縁、腸骨稜からの広背筋起始部前縁と腸骨稜に囲まれる。 したがって、1が正解。 腰三角は、腹壁の中で抵抗の低い部位のひとつとなっている。 

 

 

問題21 上腕骨の内側上類に起始するのはどれか。

1. 腕橈骨筋

2. 総指伸筋

3. 長掌筋

4. 肘筋

 

答え: 3

 

長掌筋は、上腕骨内側上顆に起始し、手掌腱膜に停止する。 したがって、3が正解。 内側上顆に起始するのは、長掌筋のほかに、円回内筋上腕頭、橈側手根屈筋、浅指屈筋上腕尺骨頭、尺側手根屈筋上腕頭がある。

 

1. 腕橈骨筋は、上腕骨下部外側縁に起始し、橈骨茎状突起に停止する。

2. 総指伸筋は、上腕骨外側上顆に起始し、第2~5指の中節骨と末節骨に停止する。

4. 肘筋は、上腕骨外側上顆に起始し、尺骨上部後面に停止する。

 

 

問題22 心臓について正しいのはどれか。

1. 心内膜と心外膜の間が心膜腔である。

2. プルキンエ線維は線維三角を貫く。

3. 乳頭筋の収縮で房室弁が開く。

4. 冠状静脈洞は右心房に開口する。

 

答え: 4

 

冠状静脈洞は、大心臓静脈や中心臓静脈などの血液を集め、右心房の後面に注ぐ。 したがって、4が正しい。

 

1. 心内膜と心外膜の間は心筋層であり、心膜腔は漿膜性心膜の臓側板と壁側板によって囲まれた空間である。

 

2. プルキンエ線維は、刺激伝導系の終末で、心内膜下を細かく分枝しながら、網の目のように走る。 その末端は、一般の心筋に移行して、興奮を心室全体に伝える。 線維三角は、房室口と動脈口の合間で、結合組織が三角形を呈する部分であり、刺激伝導系の房室束(特殊心筋線維)が貫いて、心房筋と心室筋とを連絡する。

 

3. 房室弁の弁尖は、腱索を介して、心室内腔に突き出た乳頭筋(心室筋の一部)に固定される。 心室が収縮すると、乳頭筋も収縮して、ヒラヒラした弁尖が、心房方向に翻るのを防ぐ。

 

 

問題23 鼻腔について正しいのはどれか。

1. キーゼルバッハ部位は鼻腔の外側壁にある。

2. 鼻前庭は単層円柱上皮で覆われる。

3. 蝶形骨洞は中鼻道に開口する。

4. 嗅上皮は総鼻道の上部にある。

 

答え: 4

 

嗅上皮は、総鼻道の上部で、鼻腔の天井で篩骨の篩板の下面を覆う部分である。 したがって、4が正しい。

 

1. キーゼルバッハ部位は、鼻中隔の前端部で、外鼻腔に近い鼻粘膜部分。 毛細血管が多く、直下に軟骨があり、鼻出血を起こしやすい部位である。

 

2. 鼻前庭は、外鼻腔から奥へ2㎝ほどの、鼻毛の生えた皮膚(重層扁平上皮)に覆われた部分。

 

3. 蝶形骨洞は、鼻腔の後上方に開口する。 中鼻道に開口するのは、前頭洞・上顎洞・篩骨洞。

 

 

問題24 小腸について正しいのはどれか。

1. 粘膜上皮は多列円柱上皮である。

2. 粘膜固有層にパイエル板がある。

3. 全長にわたって腸間膜がある。

4. 表面に腹膜垂がある。

 

答え: 2

 

小腸の粘膜固有層には、リンパ小節(孤立リンパ小節)とリンパ小節が集まって小判状になった集合リンパ小節(パイエル板)がある。 したがって、2が正しい。

 

1. 小腸の粘膜上皮は、単層円柱上皮である。 多列円柱上皮は、上気道の内面や外分泌腺の導管にみられる。

 

3. 小腸は、十二指腸・空腸・回腸からなる。 空腸と回腸は腸間膜を持ち、移動性に富むが、十二指腸は腸間膜を持たず、腹腔後壁に癒着している。

 

4. 腹膜垂は、腹膜に包まれ、結腸ヒモにぶら下がる脂肪の袋である。 

 

 

問題25 下垂体について正しいのはどれか。

1. 第4脳室底部に突出する。

2. 腺性下垂体は前方に位置する。

3. 神経性下垂体は咽頭に由来する。

4. 下垂体ホルモンは下垂体門脈系により標的器官に達する。

 

答え: 2

 

下垂体は、発生起源の異なる腺性下垂体と神経性下垂体からなる。 腺性下垂体は、前部を占める下垂体前葉、その後ろに位置する中間部、上方に伸びた隆起部に区分される。 したがって、2が正しい。

 

1. 下垂体は、脳の下面から細い柄(漏斗)でぶら下がり、蝶形骨の下垂体窩(トルコ鞍)に収まる。

 

3. 神経性下垂体は、第3脳室底の突出によって生じた神経組織であり、後方に位置する下垂体後葉と、下垂体後葉を視床下部につなげる漏斗からなる。 視床下部にある神経核(視索上核・室傍核)で生成され、軸索を下降してきた後葉ホルモンが、ここに蓄積されて放出される。

 

4. 下垂体門脈は、大脳動脈輪からの枝が隆起部でつくる第一次毛細血管網と、腺性下垂体に形成される第二次毛細血管網の間に介在する小動脈である。 下垂体ホルモンは、第二次毛細血管網に分泌される。 第一次毛細血管網に分泌され、下垂体門脈を通るのは、視床下部から分泌される放出ホルモン(GnRH、CRHなど)と抑制ホルモン(PIH、GIHなど)である。

 

 

問題26 錐体路が通過するのはどれか。

1. 脳梁

2. 内包

3. 橋被蓋

4. 後索

 

答え: 2

 

錐体路は、大脳皮質運動野にある巨大錐体細胞から起こった軸索が、内包を通って脳幹から脊髄に入り、脊髄の前角細胞に達してシナプスをつくるまでの下行性伝導路である。 したがって、2が正解。

 

延髄腹側で、錐体と呼ばれる盛り上がりをつくることから、錐体路と呼ばれる。 約80%の線維は、延髄下端の錐体交叉で、反対側へ交叉して側索を下行する。 残りの20%は、脊髄まで同側の前索を下行してから、前角細胞に入る高さで交叉する。

 

1. 脳梁は、左右の大脳半球をつなぐ神経線維の集まりである。

 

3. 橋被蓋(橋背部)では、橋底部との境に内側毛帯、その背部に脳幹網様体、延髄との境界部に前庭神経核や蝸牛神経核、顔面神経核などがあり、錐体外路が通る。 錐体路は橋底部を通る。

 

4. 後索は、触圧覚を脳へ伝える後索路が通る。

 

 

【生理学】

 

問題27 体液のpH調節に関与するのはどれか。

1. 心臓

2. 肝臓

3. 膵臓

4. 腎臓

 

答え: 4

 

腎臓は、尿細管において、ナトリウムイオンや重炭酸イオンを再吸収し、アンモニアや水素イオン、カリウムイオンを分泌して、体液の酸塩基平衡(pH)の調節に関与する。 したがって、4が正解。

 

1. 心臓は、心肺部圧受容器反射や心房性ナトリウム利尿ペプチドの分泌によって、循環血液量の調節に関与する。

2. 肝臓は、血液を貯蔵することで、循環血液量の調節に関与する。

3. 膵臓は、インスリンやグルカゴンを分泌し、血糖値の調節に関与する。

 

 

問題28 血流の自己調節が顕著な臓器はどれか。

1. 肝臓

2. 膵臓

3. 腎臓

4. 副腎

 

答え: 3

 

腎臓の輸入細動脈の血管壁にある糸球体近接細胞は、流入する血液量(腎血流量)が減少すると、レニンを分泌して、レニン‐アンジオテンシン系を作動させ、副腎皮質からのアルドステロン分泌を促進する。 アルドステロンは、腎臓の集合管に作用して、ナトリウムイオンの再吸収を増大させ、結果的に水の分泌を抑えて細胞外液量を増やす。 したがって、腎臓は自ら血流量を感知して調節しており、自己調節が顕著と言えるので、3が正解。

 

1. 肝臓は、全血液の約10%を貯蔵している。 肝臓で貯蔵される血液は出血時に動員され、その点で肝臓は血液量の調節に関与すると言えるが、肝臓に流入する血液量を調節するしくみは持たず、自己調節するとは言えない。

 

2. 膵臓は、インスリンやグルカゴンを分泌し、血糖値の調節に関与するが、血流の調節には関与しない。

 

4. 副腎が分泌するアルドステロンは、ナトリウムイオンの再吸収を増大させることで、細胞外液量を増加させる。 しかし、アルドステロンの分泌は、腎臓から分泌されるレニンによって調節されるため、副腎が血流の自己調節をしているとは言えない。

 

 

問題29 膵液のpHはどれか。

1. 弱アルカリ性

2. 中性

3. 弱酸性

4. 強酸性

 

答え: 1

 

膵液は、タンパク質・脂肪・糖質の消化酵素を含むだけでなく、胃液によって酸性になった内容物を中和するため、重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)を含み、弱アルカリ性(pH約8)である。 したがって、1が正解。

 

 

問題30 外気温が上昇すると起こるのはどれか。

1. 皮膚血流量が減少する。

2. 汗腺支配の交感神経活動が低下する。

3. 抗利尿ホルモンの分泌量が増加する。

4. 甲状腺ホルモンの分泌量が増加する。

 

答え: 3

 

外気温が上昇すると、体温調節のために発汗する。 発汗による熱放散は、水分の喪失にもつながるため、同時にバゾプレッシン(抗利尿ホルモン)の分泌を増加して尿量を減少させ、体内の水分量を調節する。 したがって、3が正しい。

 

1. 外気温が上昇すると、自律神経系を介して、皮膚血管が拡張する。 その結果、皮膚の血流量が増えて、放熱が増加するので、体温の上昇を防ぐことができる。

 

2. 汗腺支配の交感神経活動が亢進して、汗腺が開き、発汗による熱放散が行なわれる。

 

4. 甲状腺ホルモンの分泌が増加するのは、外気温が低下して、内臓や骨格筋の代謝を高めて熱産生を増やす場合である。

 

 

問題31 糸球体における有効ろ過圧の計算式で正しいのはどれか。

1. 糸球体血圧+血漿膠質浸透圧+ボーマン嚢内圧

2. 糸球体血圧+血漿膠質浸透圧-ボーマン嚢内圧

3. 糸球体血圧-血漿膠質浸透圧+ボーマン嚢内圧

4. 糸球体血圧-血漿膠質浸透圧-ボーマン嚢内圧

 

答え: 4

 

糸球体における有効ろ過圧の計算式は、糸球体血圧から血漿膠質浸透圧とボーマン嚢内圧を差し引くので、4が正しい。

 

 

問題32 ニューロンから分泌されるのはどれか。

1. オキシトシン

2. 成長ホルモン

3. パラソルモン

4. レニン

 

答え: 1

 

オキシトシンは下垂体後葉ホルモンである。 下垂体後葉は神経性下垂体で、下垂体後葉ホルモン(オキシトシンとバゾプレッシン)は、視床下部にある神経核で産生され、下垂体後葉まで伸びた軸索の終末から分泌される(神経分泌)。 したがって、1が正解。

 

2. 成長ホルモンは、下垂体前葉(腺性下垂体)から分泌される(腺分泌)。

3. パラソルモンは、副甲状腺から分泌される(腺分泌)。

4. レニンは、腎臓の糸球体近接細胞から分泌される(細胞分泌)。

 

 

問題33 授乳中に分泌が抑制されるのはどれか。

1. プロラクチン

2. 性腺刺激ホルモン

3. 成長ホルモン

4. ソマトスタチン

 

答え: 2

 

授乳中、分泌が継続するプロラクチン放出ホルモン(PRH)とプロラクチンの作用により、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の分泌が抑制されるため、性腺刺激ホルモン(LHとFSH)の分泌が抑制される。 したがって、2が正解。

 

1. プロラクチンの分泌は、視床下部から分泌されるプロラクチン放出ホルモン(PRH)とプロラクチン抑制ホルモン(PIH)によって調節される。 PRHは、乳頭刺激、妊娠、運動、睡眠で分泌が促進されるため、授乳中はプロラクチンの分泌は増加する。 プロラクチンは、乳汁の産生と分泌を促進し、排卵を抑制する。

 

3. 成長ホルモンは、成長ホルモン放出ホルモン(GRH)と成長ホルモン抑制ホルモン(GIH)によって分泌が調節される。 成長ホルモンの分泌は、約7割は睡眠中、約3割は空腹時と運動中に分泌されると言われているが、それはGRHの分泌が、睡眠、低血糖(空腹)、運動、ストレスによって亢進するためである。 睡眠中の分泌は、寝ついてからの3時間に最も多くなるため、授乳によって多少の寝不足があっても、分泌が抑制されるほどのことはないと考えられる。

 

4. ソマトスタチンは、膵臓ではグルカゴンやインスリンの分泌抑制に働き、視床下部-下垂体系ではGIHとして働く。 GIHは、高血糖で分泌が亢進する。 授乳の影響は受けない。

 

 

問題34 抑制性伝達物質としてのみ働くのはどれか。

1. アセチルコリン

2. ガンマアミノ酪酸

3. ノルアドレナリン

4. グルタミン酸

 

答え: 2

 

γアミノ酪酸(GABA)とグリシンは、中枢神経系において、抑制性伝達物質としてのみ働く。 したがって、2が正解。

 

1. アセチルコリンは、受容体の種類によって、抑制性にも興奮性にも働く。

3. ノルアドレナリンは、受容体の種類によって、抑制性にも興奮性にも働く。

4. グルタミン酸は、興奮性伝達物質としてのみ働く。

 

 

問題35 筋収縮において、ATPのエネルギーを必要とするのはどれか。

1. 横行小管の電気的興奮

2. 筋小胞体からのカルシウムイオンの放出

3. トロポニンとカルシウムイオンの結合

4. ミオシン頭部の変位

 

答え: 4

 

アクチンとミオシン頭部が結合すると、ミオシンフィラメントにある酵素によってATPが分解され、そのエネルギーによってミオシン頭部が首振り運動をすることで、アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間へ滑走する。 つまり、ミオシン頭部の首振り運動による位置の変化、すなわちミオシン頭部の変位に、ATPが必要となる。 したがって、4が正解。

 

筋の収縮と弛緩において、ATPを必要とするのは、ミオシン頭部が首振り運動をするとき、カルシウムイオンが筋小胞体へ回収されるとき、ミオシン頭部とアクチンとの結合が分離されるときの3回である。

 

1. 横行小管は、骨格筋の細胞膜が細胞内に陥入したもので、神経筋接合部に生じた活動電位(電気的興奮)を、効率よく直ちに筋細胞内部に伝えるしくみである。

 

2. 神経筋接合部に活動電位が発生すると、筋小胞体からカルシウムイオンが放出される。

 

3. カルシウムイオンがトロポミオシン上のトロポニンに結合すると、トロポミオシンの内側におさまっていたアクチンが外側に出て、ミオシン頭部と結合する。

 

 

問題36 運動反射と反射中枢の組合せで正しいのはどれか。

1. 横隔膜反射 ― 脊髄

2. 屈曲反射 ― 延髄

3. 立ち直り反射 ― 橋

4. 緊張性頸反射 ― 中脳

 

答え: 1

 

横隔膜反射の中枢は、脊髄である。 したがって、1の組み合わせが正しい。

 

2. 屈曲反射の中枢は、延髄ではなく、脊髄である。

3. 立ち直り反射の中枢は、橋ではなく中脳である。

4. 緊張性頸反射の中枢は、中脳ではなく延髄である。

 

 

問題37 臓器移植の拒絶反応で、移植された臓器を直接攻撃するのはどれか。

1. 好中球

2. 形質細胞

3. キラーT細胞

4. マクロファージ

 

答え: 3

 

臓器移植の拒絶反応は、非自己と認識される細胞に対する攻撃であり、それはウイルス感染細胞や癌細胞に対する攻撃と同様である。 したがって、移植された臓器を直接攻撃するのは、キラーT細胞(細胞傷害性T細胞)であり、3が正解。

 

1. 好中球は、細菌の成分や炎症性サイトカインに対して遊走性を持ち、細菌などの異物を貪食して分解・消化する。

2. 形質細胞は、B細胞から分化した抗体産生細胞である。

4. マクロファージは、積極的に遊走して異物を貪食し、その断片を抗原としてリンパ球に提示する。