花が何故美しいのか。





それは、過程と完成、最期の落差が大きいから。




蕾は美しい花を咲かせるまで、決して目立つことはない。



可憐に咲いた花は、それまでの姿を嘲笑うかのように綺麗な生を魅せる。




そして、永遠ではない美しさを慈しむことなく、花はその生涯を終える。






ひとつでも欠けてはいけない現象だ。







アザレアは今、蕾なのか、枯れる寸前なのか。








私達に問いただされているー……。














「さて、諸君。



第2ラウンドの時間だ。」





会議室”L”には瀬尾さん、ハル、リタ君に私が集結している。






「皆知っての通り、上からの圧力で僕達の企画は中止にされてしまった。




と、いうより掛け合った所、上も上で予期せぬ方向転換ではあったらしい。



株主から突然の宣告があって、その処理方法として今回の企画を中止せざるを得ないようになった。」




瀬尾さんの顔つきも、聞いている私達も当然真剣そのものだ。




「だけど手はある。


こっちにはジョーカーがいるからね。」





瀬尾さんはハルを前に出した。





「どうも、ジョーカーですっ♫



なーんてっ、ズルいですよ瀬尾さん。


僕をここまで取っておくなんて。」




ハルはいつものように陽気だ。



こんな事態なのに、半分部外者とはいえ、気楽なもんだな。





「ジョーカーって…ハルさんと一緒に殴り込みでもする気ですか??」




リタ君は心配そうに質問した。


そりゃそうだ。



この男がどれだけ人気でも、それとこれとはまた別の話だからだ。



「やりたいけど、残念ながら違う。


ベクトルを変えることにしたんだ。




アザレアの新しいサバイバルルートで行くことにしたんだよ。」




瀬尾さんはホワイトボードに文字を記し始める。




「……本気ですか……?」




「当然。

これくらいやらなきゃ、復活劇は難しい。」




アザレアの新たなサバイバル・ルート。






それは、私達総出で挑まなければ到底完遂出来ないシロモノだった。














次回、12/15(金)へ続く!





市川晴人