おはようございます☀️
こんにちは!
こんばんは!
おやすみなさい🌙
市川晴人です。
本日も
『アザレア』を載せていきます。
それでは第八話、スタート!!
リタ君とのサシ飲み。
そして、酔っ払いの私が出会った最悪な男。
何故か、私の携帯に奴からのメッセージが入力されていたわけなのだが。
「って、やばっ!遅刻遅刻!!」
そんなこと、今は気にしていられなかった。
いつも通りの電車に乗り、私は平常通り会社に向かう。
「おはようございます。」
瀬尾さんはアザレアの書類を他の部署の人に色々回しているようで、何かと連結の多い今回の企画ではかなり苦戦しているようだった。
「瀬尾さん、おはようございます。」
集中しているようだったが、私は挨拶する。
「ああ、ツツジさん。
おはよう。
昨日は…リタ君と飲みに行ったんだって?
楽しく過ごせたかい?」
忙しさに脇目もふらず、瀬尾さんはいつものように優しく微笑んでくれる。
「ハイ。アザレアのことでちょっと……。
作戦会議です。」
リタ君と話した「分担制」。
私が一方的に瀬尾さんに伝えると何だがズレが生じてしまいそうだったので、私は作戦会議とだけ言い残すと、自分の席に着席した。
メールをチェックすると、14:00に会議の予約が入っている。
アザレア第3回目の話し合いだ。
「さて諸君。
今回も集まってくれてありがとう。
早速だけど、前回決めたとおり、まずはデザインを確定させたいと思う。
各々に頼んでいたラフパターンを提示してくれ。」
私とリタ君は、課題のラフパターンを見せる。
そもそもだが、とっかかりとして個人でラフを出し合い、そこから厳選しつつ、良いとこどりをしていくのが決まり事だ。
「うん。いいね。
2人とも、かなりアザレアについては調べてくれてるみたいだな。」
瀬尾さんはパラパラと私達のラフを選定していく。
「この3枚かな。」
ざっと140近くはあったであろう原画をどかし、瀬尾さんの目に止まったのはたったの3枚だけだった。
「チョコレートの味が伝わるのと、一目でお店の詳細が分かるレイアウト。
この2枚はリタ君だね。」
「はい。自分も、作っていてその二つが上々かと。
瀬尾さんの目に止まって良かったです。」
リタ君は相も変わらず自信たっぷりだった。
選ばれた人間というのは、時間差はあれど、自分の評価と他人の評価が一致する。
私は嫌というほどこの落差に絶望し、去っていった者達を目の当たりにしてきた。
唯一、私が生き残っている理由があるとするなら、それは私が私に期待していないことだろう。
そんなこと、何の誇りにもならないわけだが。
「それで、ツツジさんのは、と。」
瀬尾さんが私のラフを目の前に置いてくれた。
「凄く良いよ。
ここまでするかってくらい、お客さん目線に立ててる。
リタ君のがアザレアの”個”を引き立てているのなら、ツツジさんは”食べる人の味方”だ。
気持ちも、デザインも、この1枚からはよく伝わってくる。」
瀬尾さんの評価が昨晩の事件を忘れさせてくれた。
やっぱり、意図して作ったものがそのまま受け取ってもらえるのはこの上なく嬉しいものだ。
「あの、瀬尾さんー……実はー………」
リタ君が例の提案を言いかけた矢先、突然、
扉から1人の男が入って来た。
「………えっ」
目を疑った。
そこに立っていたのはかつて、ドラマ”アザレア”の主人公を務めていたハルだったのだから。
「うぇっ……ハル……さん??本物??」
私もリタ君も動揺する。
こんなサプライズ、瀬尾さんから聞いていない。
「改めて紹介するね。
今日からこのプロジェクトに参加するハル君。
人物像は言わずもがなだし、これから一緒にアザレアを盛り上げていく仲間だ。
皆、仲良くね。」
瀬尾さんの笑顔に、私は圧倒されるしかなかった。
そしてー……
「ハルです。
皆さん、どうぞ宜しく、仲良くして下さいっ♪」
もう1人、色んな意味で圧倒される男が現れた。
次回、月曜日へ続く!
市川晴人