ハト界のヒーロー。
こんばんは~
今日は小雨の降る街中で、一羽のハトを発見しました。
写真の通り、よく歩道脇にある鉄の網の上に、ちょこんと座っております。
というか遠くから見ると、まるで足が網に引っかかったように見えました。
「これはもしや・・・、感動の救出劇・・?」
そんな妄想が頭をよぎりました。
とにかくどんなメリットがあるのかは分からないが、
ハト界のヒーローになれるチャンスであると判断し、
おもむろに近づいていきました。
5メートル、3メートルと距離が近づいても、ハトはビクともしません。
普通だったら何らかの反応があっても良い距離です。
「こりゃマジで、ガッツリ挟まってるに違いねぇ・・。
待ってろよ今助けてやっからよ。
つーか歩いてるやつらは何も気付かねーのか!?」
完全にブルース・ウィリスと化した僕は、
周囲の目もはばからず、ハトの救出に向かいました。
近づいてもやはりハトは動きません。
距離はもう1メートルほど。
手を伸ばせば届く距離です。
「こりゃやっぱおかしーぜ。」
その時です。
突然、変化があったのです。
ハトはゆっくりと、
まるで「ヨッコラセ」とでも言わんばかりに立ち上がり、
たった10センチほどだけ、僕から離れたのです。
「え・・?」
「足はからまってない・・・?」
なるほど、足がからまっていないことは確認できましたが、
小雨の降る中、群れもせず、たった一羽で
道路脇に腰をおろしているハトなど見たことがありません。
「もしかしたら、何らかの事情で体力が低下しているのかも知れない。」
ブルース・ウィリス化した僕のハートは、ついつい仕事を探してしまいます。
しかし次の瞬間、幸か不幸か、僕は全てを知ってしまうのです。
そしてヘナヘナと、フツーの春田直樹に戻ることになるのです。
風が吹いたのです・・・。
ハトの座っている鉄の網から、温かい風が吹き抜けたのです。
そう・・・
ハトは、網の下から吹き上げてくる温風で、暖をとっていたのです。
不思議な気分でした。
救出しようとした相手が、自分よりも幸せな感じだったこと。
ハトが、人間に捕まるかもしれないというリスクよりも、暖をとることを優先したこと。
何ともいえない、不思議な挫折感に包まれながら、僕はその場を後にしました。
いいんです・・・。
また道端でうずくまってるハトがいたら、
僕は近づいてみようと思います。
ただその時は、
そこに温風が吹いていないかどうか、
よく確認しようと思ってるんです。
by 春田直樹
*ワンマンライブvol.3まであと39日