あらよっと、ブログのお時間です。
「ありがとうございました」とその場を去る個人タクシー。
そしてすぐにワシは気づく。
「ない・・・ワシの・・・ちくしょー!!!!!こんな事なら!!」
『おじいちゃんタクシー事件』
いんや、別に事件ちゅうかしみったれたアクシデントやけど。
昼間、新潟に帰って来たんやけどあまりにも暑かったのさ。飲んだ後ならフラフラ帰れる距離なんやけど、シラフの炎天下、家まで歩きたくなんかない。んなもん、帰宅じゃなくスポーツになってまうわ。ぺっぺっ。
こうしてワシはロータリーで客待ちしているおじいちゃんの個人タクシーへと乗り込んだのでございました。
気持ち良くスイスイと走り出すおじいちゃんタクシー。
そのままおじいちゃんタクシーは遠回りする事無く、テキパキと最短距離を突き進む。少しでも道を外されるとムカつくだけにナニも言わずの最短ルートはやはり嬉しい。
自分ちまでのタクシー料金はだいたい980円だか1050円のニ択。前者なら野口1枚。後者でも50円やからようは千円1枚で帰れる訳さ。
ここで芽生えるおじいちゃん孝行。こんな暑い中仕事しているおじいちゃん。少しのメーターを稼ぐ事無く、最短距離を突き進むおじいちゃん。
おじいちゃんったら。うふふ。
うん。980円でも1050円でも、1500円渡そ。お~いお茶でも飲んで頂こう!決めた。ワシは決めた。ここは1500円プッシュ。
いよいよ、自宅が近づく。そこを右に曲がればすぐに到着。
「そこ右曲がって、すぐ見える散髪屋さんのとこで!!」
すぐ見える散髪屋と言った瞬間。急減速。おじいちゃん、いきなり露骨に減速。ブレーキ。減速。ブレーキ。ボケた!急に直線でボケよった。この50メートルの距離でまさかの時間稼ぎ。メーターは只今、1050円。もうイイのにまだ車は止まらない。そして、おじいちゃんがまさにここであがる!!のタイミングでブレーキを踏んだ瞬間。
「はい、1120円です」
吹っ飛んだ。一気に吹っ飛んだおじいちゃん孝行。芽生えた気持ち。70円分の時間稼ぎはワシから優しさを奪いとった。きっちりで勘定や。バタバタとポケットの中をまさぐり1120円を支払った。
立ち去るタクシーを見ながら、心でつぶやく。あのおじいちゃんも商売が下手や。得したつもりが損したんやで。本当ならワシはピカピカの1500円を・・・?!
「ない・・・ワシの・・・ちくしょー!!!!!こんな事なら!!」
カード類一式入ってる名刺入れが無かった。タクシーに忘れた。用意していた1500円を出せばポケットを探る事は無かった。120円をバタバタ探すウチに名刺入れ置いてきた(T_T)
泣きながら領収書に記載された携帯に電話。ペコペコと平謝りしながら、おじいちゃんに持って来て貰う名刺入れ。んで。
再び芽生えるおじいちゃん孝行。心のこころ。戻って来たタクシーに駆け足。ご老体に鞭を打った出戻りに感謝。ここは感謝!!
「ありがとうございました。これで飲み物でも!!」
手渡す500円玉。
「・・・ふん。はいよ」
ふん?!きーっ。ナニこれ。ここは千円要求!ここは千円プッシュの場面やったんか?!ムリムリムリー。こんな事なら始めから1500円払っとけば良かった。ほんなら名刺入れも忘れんかったし安かったやん。かしこ。
(新潟駅→家)
出費タクシー1120円。
忘れ物手数料500円。
計1620円。かしこ。ぺっぺっ。
(おしまい)