このブログに出てくる検査値などについて、まとめたいと思います。

 

尿検査

 <尿試験紙法>尿試験紙と尿を反応させ、指示薬の変色の程度を評価します。

健康診断などでも広く用いられている方法です。

 潜血 基準値(ー):腎臓や尿管、膀胱などに異常があると、尿の中にわずかに赤血球が混じってくることがあり、これを尿潜血といいます。

 蛋白 基準値(ー):腎臓や尿管などに異常があると、多量の蛋白が尿中にもれて蛋白尿となります。

 尿試験紙法では、この他にも尿糖やケトン体、ウロビリノーゲンなど数種類の項目を調べます。

*ビタミンCを飲んでいると、血尿があっても検査結果が陰性(偽陰性)になることがあるので、検査前24時間程度は服用しないようにしましょう。

 

 <尿沈渣>尿10mlを遠心分離することによって得られる沈澱成分を顕微鏡で観察します。尿試験紙法で異常がみられた時や、腎•泌尿器疾患が疑われる時などに調べることがあります。

 赤血球(RBC 、基準値:4個≦HPF):5個/HPF以上で顕微鏡的血尿といいます。

(HPF:High Power Fieldの略。顕微鏡で400倍拡大した時の1視野のこと。)

糸球体の病気が原因の血尿では、尿沈渣で変形赤血球や赤血球円柱が多く見られます。

 円柱(基準値:なし):遠位尿細管から分泌される蛋白に各種細胞成分などが取り込まれ、尿細管管を鋳型として形成されます。円柱の種類により腎障害の種類、程度を知ることができます。円柱が出現したら、腎臓自体の異常が考えられますが、硝子円柱は健常者でも見られることがあります。

 

 尿蛋白/尿クレアチニン比(U-TP/U-Cr):尿蛋白と尿中クレアチニンの比のことで、尿にどれくらい蛋白が出ているかを見るものです。全く正常なら0.05程度で、正常上限が0.15くらいまでです。U-TP/U-Crが1なら、1日尿蛋白も1g程度はあるものと判断されます。

 IgA腎症の場合、0.5以上なら腎生検という精密検査をした方がいいと言われています。

 

採血

 血清Cr(クレアチニン):代表的な腎機能の指標です。筋肉の収縮に必要なクレアチンの最終代謝産物です。糸球体で濾過された後、尿中に排泄されます。筋肉量に影響を受けるので、一般に男性の方が女性より高くなります。腎機能が低下すると、血清Crは上昇します。

 

 血清シスタチンC :全ての有核細胞で産生される蛋白質で、その産生量は年齢、筋肉量の影響を受けにくいとされています。筋肉量が多い人ではシスタチンCの検査も行った方がいい場合があります。(シスタチンCは3ヶ月に一度しか測定できません。)

 

 BUN(尿素窒素)尿素は蛋白質代謝の終末代謝産物として肝で生成され、腎から排出されます。

 

 eGFR(推算糸球体濾過量)血清クレアチニン、年齢、性別から計算した腎機能の指標です。20歳くらいだと100ml/min/1.73m2以上あります。この数値が60を切ると、慢性腎臓病(CKD)という状態になります。

 

 Hb(ヘモグロビン):血液中の赤血球に含まれる蛋白質です。肺で酸素と結びつき、全身に酸素を運ぶ役割をしています。基準値より低いと貧血です。

 

 血清IgA(免疫グロブリンA):IgA腎症患者さんで有意に高値で、半数以上の患者さんで315mg/dL以上となるそうです。なお血清IgAが315mg/dLより低くても、IgA腎症を否定はできません。

 

   空腹時血糖:10時間以上絶食している時の血糖値。(正常値 100mg/ dL未満)

 随時血糖:食後からの時間に関係なく測定した血糖値。200mg/dl以上で糖尿病と診断されます。

 HbA1c:血糖コントロールの指標。過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映します。(基準値:4.6-6.2%)

どうして糖尿病関連の検査値が??と思うかもしれませんが、ステロイドパルス療法前後に出てきます。

 

<参考図書>『病気がみえるvol.8  腎•泌尿器(メディックメディア)』

      『エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン(東京医学社)』

      『糖尿病治療ガイド 2022−2023(文光堂)』