もう何年も前。
バナナマンがテレビに出始めたころは、いわゆるひな壇芸人として様々な番組に出演されていました。
私はそれを見に、ずっと観覧ばかり行っていました。
まさに仕事場と家とテレビ局の往復の日々。

テレビの収録は
だいだい放送時間の2倍かけて収録します。
1時間ならば2時間。
2時間ならば4時間。
前例のない初めての特番であれば
5~6時間に及ぶことも多い。

出始めのバナナマンは完全なひな段芸人で
一番後ろの席に座って
一生懸命場を盛り上げていました。

「いいよ!」「でた!」「かわいい~!」
要所要所で声をかけ、拍手をし続ける6時間。
それを一緒に経験すると、
いかにこの仕事が大変なものかを思いしらされます。

その中で、設楽さんの声は
いつも大きく響いていました。
周りの人とも自然に積極的に話し、
自分の番が来ると大きな声で話し、
日村さんのことを一生懸命紹介していました。
一方で、番組の流れで後輩が見せ場になると
さりげなく声をかけ、名前を呼び、
背中を叩いて励ましている姿を何度も見ました。

一方の日村さんは、
常にニコニコ、ホワホワしていました。
とりわけ周りの人と多く話すわけでもなく
主軸に食い込んでいくわけでもなく、
ただそこで、目の前のことを見て、楽しんでいるように見えました。
しゃべる時と言えば、
モノマネをふられた時が多く(当時はほぼこれだった)、
コメントも求められた時だけ発していたような気がします。


発言数で言うと
設楽さんと日村さんは9:1程度だったでしょうか。

しかし、オンエア当日。
番組を見ると驚きの事実が。
日村さんの方がずっと映って喋ってる!!!
喋っている所=オンエアされている所
まさに奇跡のほぼ十割バッター。

設楽さんは声がたまに聞こえる程度で
流れるように進む番組の中では
ファンしかわからないような存在感となっていました。

(テレビというのはこういうことなんだ。)
と毎回毎回不思議な気持ちで見ていたのを覚えています。

しかし、今はもうすっかりテレビの世界に馴染んでいる二人。
設楽さんのコメントの命中率も増え、
いい具合に肩の力も抜いて個性が出せるようになっています。
才能が磨かれていくというのはこういうことか、といつも思います。
きっとバナナマンだけでなく多くの芸能人は同じようにテレビスキルをあげながら頑張っているんだろうなぁ。
だから今は、全てが成長の過程だったのだと思えるのです。


さて、この間のIPPONグランプリ。
私は観覧席で応援していました。

優勝してほしいなぁと思っていたのは
オープニングくらいまで。
その時の日村さんのコメントを素晴らしさが
心に染みて来ると
そうだ、優勝することだけが目的じゃないんだった。
ということを思い出しました。
この番組、このコンテンツの中で爪痕を残すこと。

その目的で言うとオープニングの流れでは
おそらく日村さんのコメントが使われるであろうことは簡単に予想できました。
(よし、映る)
それを核心した時に、
優勝は一番の目的ではなくなったのです。
あの時、緊張で固まった空気と共演者を
独特の存在感で緩和させてくれた日村さんの
存在感はものすごかったです。

まぁ、結果として日村さんは
優勝できなかったのですが、
オープニングから対戦での言葉は
ほぼ完璧に近い位全部オンエアされていました。

その会話は、一言一言が
日村さんがただ日村さんであるだけ。
でもそれだけで成立している
素晴らしいものでした。

会場でもテレビの前でも
日村さんのセリフの一つ一つに
足をバタバタさせながら喜ぶ私。

それは、昔、
モノマネばっかりふられた時期には
決して伝わることのなかった日村さんの魅力です。
設楽さんだけではなく日村さんも成長しているんだなぁと思います。


あれから時間が経って
こんなふうに共演者に愛されて
自分の言葉でいっぱい笑いをもらっている
日村さんを見ていることが
とても幸せでした。

そんなIPPONグランプリでした。