あたしが、似合わない一人旅を繰り返していた頃。

泣きながらライブを見ていたアーティストが札幌に来た。

不思議と泣いた原因は思い出さなくて、

ただその曲の言葉が響いて泣けた。

「別れても必ずだよ」と交わした約束は、守らなければいけない?


『そんなのちっともハッピーエンドじゃない。おまえの幸せはこれからだよ』

そう言ってくれた彼の前で、この前始めて泣いた。

どうしようもなく落ち込んで、辛くて。

そんなあたしに、ただ話しかける声を聞いたら涙が止まらなかった。

泣くあたしに困りながら、ずっと聞いていてくれた君は。

少なくとも今、幸せをくれてる。


2年前の今頃、「嫌だ嫌だ、離れたくない」と

先輩の前で泣いたことを思い出した。

離れるときに泣いたのは、あれが最初で最後だったかもしれないなぁ、と思う。

私の永遠の姫。 しばらく会っていないなぁ。

一緒に食べたパスタ屋さんももうないし。 時は流れているのだ。


そうしてあたしは、一人で、ひっそり24になった。

いろいろなことに流されたり追い立てられたりして、

最近あんまり地に足が着いてない。

車は代車だし。
自分で自分がちょっと心配。なんだか、現実逃避気味。


甘いものばかり欲しがっても、たくさん与えたがっても、

どっちにも限りがあるのにな。


正しく生きられないの。

正しく生きたことなんて、今まで一度もないもの。

自分のためになんて生きれないよ。

でもそれと同じくらい、誰かのためだけには生きれないよ。


同じことを繰り返すの?

同じようにしか出来ないの?


照れて笑いながら、あたしをほめる顔も

試すような目をして意地悪をするとこも

一緒にいると大人ぶって背伸びしちゃう幼さも

あたしをみんなに自慢したがる無邪気さも

いとおしくてしょうがない。


どぉしたらずっと一緒にいられるだろう、と

あれこれ言い訳を考える彼と同じくらい

ずっと居ればいいのに、と思っていることは

きっと知らない。


優しさとタフさのバランス。

平衡感覚のないあたしに、

バランスを求めるなんてそもそも間違いか。


なんとなく、なんとなくで過ごしてしまう今日この頃。


変わらずある一定の温度を保つことができない。 ココロの話。


強烈に感情をかき乱された瞬間のことが、どうしても忘れられない。


その瞬間を繰り返し続けたい。


けれど、バンドも作家も俳優も、成長して、ときには退化して、変化してしまう。


知らないところが増えていく、自分の温度とずれていく。


気がつくと心は離れている。 


淋しくならないように、大好きな1曲だけを繰り返し聴いて、同じ映画ばかり見て、同じ本ばかり読む。


いつのまにか、大好きだった瞬間は過去になっている。


そうやってまた「今」とはぐれてゆく。


今を見ず、何にも考えずに「いるだけ」で生きられる現実。


激しく感情が揺れることが欲しい。


欲望が、欲しい。


兄貴1「そろそろ帰るか」

兄貴2「帰ろ帰ろー」

あたし「放課後みたいですね~笑」

・・・社内の微妙な目つきをよそに3人連れ立って帰る・・・


ついさっきの私たち。


兄貴たちは、我が家襲撃の写真をデスクトップに貼り付けてははしゃぎ、

引っ掛けたおねえちゃんが脈ありだけど既婚って言ってないけどどうしようとか

誰が泥酔して酷い事言ったかで、真面目に仕事をしているほかのシマを横目に盛り上がる。


兄貴1がお姉ちゃんに走るほうに兄貴2が、走らないほうにあたしが1000円賭けたら

「じゃぁどっちにも俺がおごってやるよ!」

ってことになり二人で大喜び。


「会社の女には手を出さない」という兄貴たちの言葉は真実だと踏みました。

妹分というポジションは心地よくって安心。

「俺らを兄貴と呼んで悪い見本にするように」

「鉄矢(武田)って呼んでー」

「アニキー!!」

「俺昨日2ラウンドだったー疲れたー」

「えーしばらくおしっこにしか使ってないよ」

「・・・お疲れ様でーす。いろんな意味で(笑)」

「じゃぁねーばいばーい」


まるで中学生なあたしたちは、30代とうら若き23の乙女。

こんなだから、毎日が楽しいです。

信じられないことに、目が覚めたら9時を過ぎていた。下っ端は8時半出社だ。


起きたのは、先輩からの電話。

「寝てていーよー」と言われてあー!!!!!となる。


その後すぐに上司から電話「午後から出社でいいよ。」


しばらくしてまた上司からの電話「今日は休んでいいから。支社長命令だよ。」


今日中にやるべきことが、珍しく山積みだったのに・・・校了日だものね。

電話でできるものは自分で、それ以外は恐れ多くも上司に引き継ぐ。


起きれなかった理由は明白。 意志の弱さ、緊張感のなさ。

イベントが続いて4日から休みがない中、

反省会兼打ち上げでセクハラ飲み会をノンアルコールで耐え抜き、

1時に会社にもどって原稿を書いていたら3時半。

帰ってシャワー浴びたら明るかった。

・・・起きれないかもしれない不安は的中。


それにしても、アメとムチのうまい会社だ。

バイトでもこんな風には休めないのに。 いい会社だと思う。


慣れていてもセクハラは辛い。

する人も、あえて見ないようにする人も、本気で止めない人も嫌。

セクハラの嫌悪感は男の人にわからないものなのだろうか。


楽しい雰囲気を壊したくないのと、自分自身を壊したくないのと。

限界を過ぎれば、よく分からなくなるのだと知る。

触られているのが、足なのかお尻なのか胸なのかすら。


笑顔を作り、伸びてくる手やら足やらをよけながら思う。

世の中も、あたし自身の価値も、大したことないんだよ。