こんばんは^^

  

 経営者は、安い労働力を求めます。

 年功序列型賃金を排して、ジョブ型の雇用に移行しているのも、その表れですね。

 何年勤めても、給料が上がらない制度。

   

 高度成長期には、低賃金で雇える中卒を『金の卵』と呼んで、集めて回ったです。

 集団就職なんて、上野駅で初めて雇用主と被雇用者が顔を会わせるといった具合で、誰でも良かったのです。

  

 中卒がいなくなると、仕方なく高卒を採用したのですが、それすら叶わなくなり、外国人を雇っている状況です。

 

 近くに、住民の15%が、工場で働く外国人家族、という自治体があるのです。

 ブラジル人(ポルトガル語)や、ペルー人(スペイン語)などが多いから、言葉が通じません。

 

 でも、親は生活がかかっていますし、ひと財産作って、帰国する積りですから、すぐに仕事を覚えるようです。

 子供は小中学校に行くけれど、言葉が解らないので、さぼってしまい、そのまま不登校になる事も多いです。

 すると、犯罪に走ったりしますので、困るのですが。

  

 外国人に教育の義務はないので、強制はできないです。

 う~ん。じゃあさ、納税の義務は?

 源泉徴収されちゃうけどね……

   

「作業そのものは簡単だからね、言葉(日本語)が全く解らなくても、すぐに覚えられるんだ

 と、○○製作所の課長さんは、春に教えてくれたです。

 

 さらに、少々難があっても、高卒の日本人を雇わざるを得ないと、その課長さんは言うですね。

 

 高校進学率が95%を超えていますから、5%の知的障碍者が、知的障害特別支援高校に回ると考えれば、14%いる境界知能者(知能指数70以上85未満)も高卒なのです。

  

 高卒で就職する人が17%程度ですから、トン太君のような隔離教室の生徒も貴重な存在なのです。

 就職希望者の99%以上が、内定を貰える所以です。

 以前は知的障害とされていた、境界知能の人も、就職できます。

    

 発達障害とは認定されていないけれど、感情や行動のコントロールが上手くできないとい人もいますし、手先が不器用で、組立などに不向きという人もいます。

 でも、採用されるのです。

  

こう云っちゃなんだけど、多少知能が低くても、コミュニケーションが取りづらくても、何とかなるんだ」

 少々難があっても、適材適所というか……言わんだろ!

 少々の無理をおして……かな? 

 とにかく、その人ができることに合わせた配置を考えるのだそうです。

  

 まあそうなのかな。

 神奈川県川崎市にある『日本理化学工業』は、社員の7割が知的障碍者でも、ちゃんと操業しているのだから。

 機械相手に、単純作業の繰り返しだから、無言で良いし、考える事も技術も、特に必要がないのです。 

 

 注意欠陥の傾向があるトン太君も、工場勤務ならミスをする心配がないかと、春は考えたです。

 そこで課長さんのところなら、トン太君をお任せできるのではと、思い相談したです。

  

 そして、トン太君が工場に職業体験に行くことになったのですが、1日で投げ出すんじゃないかと、春は心配でした。

 トン太君は1週間ほど工場に通ったというので、少し安堵。

  

 でも、課長さんから、トン太君の工場での様子を聞いて、春は呆れたのでした。

    

 つづく

 

 春の苑 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つをとめ