こんばんは^^

  

 万引き犯が、盗んだ商品を買取りできれば、出入り禁止にして、終わらせる店は多いです。

 警察に通報すると、面倒ですから。

  

 お金を持っていない場合も多いですが、家族に連絡して、支払わせる事もあります。

 

「高校生がね、チャックの開いたスポーツバックを持って、店に入ってきたのよ」

 ドラッグストアの店長さんが言うですね。

「やる気満々だね」

 口を開けたバックという時点で、万引きしに来ましたって、云っているようなものです。

 出来心でつい、と言っても通用しないです。

   

「衛生用品コーナーに直行してさ、次々とテンガをバッグに放り込んだの」

「テンガって、何?」

「う~んと。アダルトグッズと云えば良いかな。分厚いコンドームのようなものよ」

 ドラッグストアは、アダルトグッズを売るのか?

「ほむ。そういうのも置いてるんだ」

    

「その後は、コンドームに手を出したの。何箱も」

「うん?という事は、使う相手。彼女が居るって事だよね」

「使い捨てのテンガなんだけど、コンドームをして使えば、汚れないから、何回も使えるって、言うのよ」

 何か、気持ち悪いな。

  

「だったら、なんで、いくつも盗ったの?」

「バリエーションというか、種類が多いのよ」

「ほむ」

 良くわからんけど。

  

「それで、そのまま店を出たからね、『清算をお忘れでないですか?』って声を掛けたら、『知らねえよ』だって。馬鹿にして」

 声を掛けると、大方は大人しく認めますけれど、とぼけたり、否定したりする人もいます。

 心証が悪いです。

   

「店に入って来た時から、ずっと見てたのよって。とにかく事務室で清算しようって、腕を掴んだわけ」

 中高校生は、逃げようとする事も多いです。

 腕を掴まれ、振り払った積りが、事後強盗になったりするです。

 結構危ないです。

  

「ここ(事務室)に連れて来て、盗んだものを出させたんだけど、いくら何だって、多すぎるでしょ!っていう量なのよ」

 ふむ。適正量は知らんけど。

 

「どうして、盗ったか訊くとね『買うのが恥ずかしかった』って言うんだけど。だったら、通販で買えば良いのに」

「それで、買い取るお金を、持っているか聞くとね、小銭しか持ってないの。2万円以上盗ってるのに」

「買うのが恥ずかしかったという言い訳も、通らないね」

 お金を持っていれば、まだしもですが。

 

「全部、自分で使う積りで、盗ったのか訊くとね、友達の分もって、言う訳」

 転売する気だったのか?

 とすると、悪質です。

  

「色んな種類を、盗ったんだよね」

「そう。だから、友達の分っていうのも、怪しいんだけど。もうね、テーブルの上に出された品物を見るとね、おぞましくて、気分が悪くなりそうで」

 ほむ。でも、売ってるんでしょ……

  

「さっさと片付けようとしたけど、連絡先を教えないのよ」

「そのまま帰す訳にも、行かないしね」

 被害が2万円を超えるとなると、きちんとけじめをつけなければ。

 

「母親は10時過ぎにならないと、帰ってこないって。職場に携帯を持ち込めないから、連絡が取れないって、教えないのよ」

 店長だって、7時あたりには店をバイト君嬢に任せて、帰りたいし、長時間拘束するわけにもいかないです。

「質悪いね。父親は?」

「いないって言うのよ。母子家庭だって。嘘なんだけどね」

   

 つづく

    

春の苑 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つをとめ