こんばんは^^

            

『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口 幸治著 新潮新書)

 という本が、売れているとか。著者は、発達障害・知的障害を持つ非行少年が収容されている、医療少年院に6年間勤務していたそうです。

 反省を促す矯正教育を行っても、無意味だというですね。

 知能が低く、反省する能力がないから。知能を底上げするのが先だと。

    

 そうだなぁと、思うです。いくら諭しても、無駄かな。

 少年院を出て、40%の人が、25歳までに逮捕されていいるのだから。

           

 普通はお金稼ぐために、バイトを始めます。

 自制能力が弱いと、目の前にお金があれば、手を出します。

 レジから1万円札を抜いて、ポケットに突っ込んだりします。

 芸がないぞ!(そういいう問題か?)

   

 この程度であれば、説諭して解雇というケースが多いようです。

 警察に被害届を出すと、時間を喰うだけですから。

 あるオーナーは、説教も無駄だと言いますけれど。

    

「あなたね、自分の一生が台無しになるかもしれないんだよ」

「……」

「逮捕されると、警察から学校に連絡が行くんだよ

 学校・警察相互連絡制度というのがあるです。

「……」

「二日間バイトすれば、1万円近く稼げるのに。なんで、こんなことするの」

「……。……なんとなく」

 もう、説教する気が、失せます。意味ないです。せめて、

「すいません。出来心で、つい」

 くらい、言えよ!

    

 功オーナーは、知人の子供を預かったですね。 

「知り合いの子が窃盗で捕まってさ、鑑別所に入れられたわけよ」

「かなりの、悪なんじゃない」

 普通の万引き程度では、逮捕は無いかと。

「少年院か、保護観察かの境目あたりだったのかな」

 よく分からんけど。

  

家庭裁判所でさ、少年審判ってあるでしょ。親がね、家庭裁判所の調査官から、保護観察にする条件が出されたって、言うんだ」  

 家庭裁判所の調査官は、事件の事を調べたり、少年と会ったり、親と面談して家庭環境などを調査しますです。

 そして審判の直前に、こんな処分でどうでしょう?と、意見をつけて、調査票を裁判官に提出します。ほぼ、意見通りの審判が下されるのだそうです。

  

「被害者と示談するとか、悪い仲間と縁を切る事とかさ」

 示談が成立しても、直ちに少年院送りが、保護観察に変わる訳ではないですが。

 悪い仲間と縁を切る事が、重要なんだろうね。

「それで、預かってくれって言うんだ。保護観察の7割以上が、1年で解除されて終るというから、まあ良いかって。引き受けたんだ

 店に泥棒を引き込むなんて、嫌だな。   

    

「でまあ、弁護士立てて示談にして。他県の知り合いのコンビニに預けて、働かせます。通信制高校に行かせますって。それで、調査官の了承をもらったらしい」

「地理的に切り離して、縁を切ろうと」

 まあ、有効かな?

            

「それで、近くにアパート借りて、保護観察所の手続きとかしたけど」

 したけど?

「ろくに挨拶もできないような子でさ。見た目でもう、だめかな?って感じ」

「親の頼みじゃなければ、採用しないタイプか~。仕事はやっぱりダメ?」

やる気が全くなくてさ、辞めさせる訳にもいかないし

 そういうのがいると、バイト達の志気にかかわるです。

 

「でも2週間で、いなくなった。売上金12万円を持って。仲間の所に行ったんだろうね」

「はあ。持逃げ?なにそれ。自分の立場が分かってないんじゃ」

 12万円持ち逃げしたら、保護観察期間中の再犯です。捕まればまた審判です。

「そうだろうね。そういう事をする子だから、家裁送りなんだけど。親の知り合いだから大丈夫、みたいな甘えもあったのかな」

 

「その後、どうなったの?」

「警察には言わなかったけど、親には連絡したよ。心当たりを捜してみるって。でも、何も言ってこないから、何かで捕まったんじゃないかな。こっちから訊くのも悪いし」

「働くより、仲間とつるんでいたくて、逃げ出して、仲間とまた何かやっちゃったと?」

保護観察処分が出ても、10%が取り消されて、少年院行きだから、しっかりやれって、弁護士が言ったらしいんだけどね」

     

 10%に入ったのかぁ。持逃げした時点で、入っちゃってますが。

 縁が切れてないんだね。LINEとかで、繋がってるからかな。

 仲間がいる場所。自分がいられる場所があるって、思ったのかな。

    

「なんか、後味の悪い結末になっちゃったね」

「まあ、仕方ないさ。問題を起こすかもって、一応、覚悟して引き受けたんだから」

 人に親切にするときには、倍の痛みとなって、返ってくる覚悟がいる。

 吉行淳之介だったかな。

   

 つづく

 

春の苑 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つをとめ