子どもが病気になったり、障害をかかえて生まれたりすると、親は自分を責めてしまうこともあります。実際、妻は春香の発病から2年間、病気になった春香を受け止めることが出来ず、自分を責め、苦しみの中でもがいていました。

 

 8月21日の毎日新聞「東海ワイド」のコーナーには、今年引退を表明したフィギアスケート男子の五輪メダリスト宇野昌磨さんの心温まるエピソードが掲載されていました。

 

 宇野さんは、900グラムという超低出生体重児として生まれました。名古屋の通称「八事日赤病院」の新生児病棟には、宇野さんからの電報が飾られて、新生児集中治療室(NICU)の赤ちゃんや家族の励みになっています。宇野さんはこの病院で生まれたわけででありませんが、NICUを卒業した「同窓会」が開催されていることを知人を介して知り、電報を送ったのです。電報には、「僕がここまで来られたのも両親の諦めない愛情があったおかげ」と感謝し、「小さく生まれたことをハンディと思わず、個性として成長を楽しんでください」と、エールを送ります。電報は「お子様の未来の可能性を応援しています」と結ばれています。

 

 「ハンディではなく、個性。」春香を亡くした悲しみは消え去ることはありませんが、病気も個性ととらえると、7年半に及ぶ春香との闘病生活に彩りが加わったような気がしました。

 

 春香の残した『×くん』が、皆さんの希望になってくれることを願ってやみません。