7月20日の朝日新聞be on Saturdayに画家の大河原愛さん(45歳)の記事が掲載れており、吸い込まれるように集中して読ませていただきました。

 

 大河原さんの絵には特徴があります。人の顔の、目や口などのパーツの一部が欠けているのです。「一部を欠落させることで落ちつく」のだそうです。

 

 その背景には、大河原さんの生い立ちが関係しています。人への共感性に乏しい父に何度も傷つけられてきたのです。

 

 中学で美術部に入り、顧問の先生に初めて褒められました。ただ、デッサンは上手く描けても、自由に描くことは苦手でした。

 

 10代後半でうつ病を発症した時、「心の傷を描けばいいんだ」と気づきました。

 

 20代で結婚し、子どもにも恵まれましたが、睡眠時間が2・3時間になることもありました。それでも絵を描き続けました。その理由は、絵の前で涙を流す人、「救われた」と涙を流す人など、自分の絵を求めている人がいたからでした。

 

 今でも父親の影響で自己肯定感は低いままですが、「父の存在があったから、絵を描くエネルギーが生まれた。」と語ります。

 

 どんな闇も光に変える、そう思って絵を描き続けているそうです。

 

 脳腫瘍という暗闇のなかでもがき苦しみながら絵を描き続けた春香と重なる部分が多く、少し胸が痛くなりました。寡黙に机に向かって絵を描いていた春香。思い通りに筆が進まず悩んでいた春香。最期に描いた「×くん」は、そんな暗闇から明るい未来を照らしていたんだね。22歳の春香の次作も見てみたかったです。