7月21日の毎日新聞「みんなの広場 日曜版」のテーマは「スイカ 思い出す夏の日」でした。その中の「病床の妹 最後の願い」と題した福岡県の川口智子さん(57歳)の投稿記事を拝読し、涙が零れ落ちそうになりました。

 

 川口さんの7つ下の妹は、11歳の冬に発病し、3度の手術、入退院を繰り返しました。高校には行かず、自宅で闘病していましたが、1990年7月、17歳の時に再び入院することになりました。

 

 川口さんは妹が好きそうなものやぬいぐるみ、服などを持って病院に通いました。食が進まなくなった秋口に、めったにおねだりしない妹が「スイカが食べたい」と言いました。川口さんはお店を何軒も回りましたが見つからず、妹は年を越さずに旅立ってしまったそうです。

 

 

 再々発が分かり、年を越せるかどうかと宣告されていた春香が食べたいものを私も必死で用意していたことを思い出し、胸がうずきました。上用饅頭、赤福も取り寄せました。

 

 咀嚼する力がなくなり嚥下することも難しくなったあと、春香が最期に「食べた」のは、妻の手作りスープでした。奇跡の瞬間、妻も胸が一杯になったそうです。