再発後の再手術の結果、春香は右半身麻痺と失語症の障害を負いました。すでに高校生になっていたため、院内学級はなく、リハビリが春香の日課になり、社会とのつながりになっていました。言語、理学、作業、それぞれの療法士の方によるリハビリが、治療の合間に計画的に組み込まれ、入院中は割と忙しく過ごしていました。辛いリハビリもありましたが、少しずつ前に進んでいく様子が確認でき、春香なりに充実感を味わっているようでした。

 

 8月18日の中日新聞「ニュースを問う」のコーナーには飛騨市の全小中に学校作業療教室が導入された記事が掲載されていました。「学校作業療教室」とは、発達に特性のある子どもたちに作業療法士(OT)が、個性に合わせた学びを提供する仕組みです。OTの奥津光佳さんは、どうしても棒グラフが真っ直ぐかけない子どもの特性を見抜き、「作戦」を立て、見事壁を乗り越えさせるなど、教室に笑顔の花を咲かせています。

 

 中学時代、春香は教室に入るのが怖くなってしまったことがありました。もし、教室にOTの方がいたら、個別の「作戦」を用意し、学校生活に変化をもたらしてくれたかも知れません。

 

 この制度を導入した飛騨市の都竹淳也市長には、重度障害のある次男がいるそうで、福祉政策の導入にも積極的です。

 

 どんな子どもも教室の中で、主人公でいられる、そんな社会になると嬉しいですね。