2019年10月、春香は再手術の前日に、主治医から2つの選択を迫られました。腫瘍をとり切るが右半身麻痺と失語症か、又は、腫瘍を残し身体機能を温存するか。この時、正直、私と妻には迷いがありました。しかし、春香には、一本の筋が通っていたようで「私は生きたいです。」と即答しました。
8月16日の読売新聞の気流に「他者を思う気持ち 感動」と出した福井県の山下さやかさん(43歳)の投稿が掲載されていました。
山下さんがショッピングセンターの駐輪場にいると、中年女性が10台ほど自転車をドミノ倒しにしてしまいました。近くにいた女子高生と山下さんは、炎天下で自転車をもとに戻してあげましたが、その女性は落としたケーキが気になって、何もしませんでした。
山下さんは、少し腹が立って来て、「『ありがとう』の一言ぐらい言ってもいいのでは」と心の中で思っていたところ、女子高生は「お怪我はありませんでしたか?」と優しく声をかけたそうです。
記事を読んで、女子高生の行動に清涼感を感じましたし、自分の内面を明らかにし、投稿してくださった山下さんにも感謝の念が芽生えました。自転車を倒してしまった女性のケーキも特別な事情があったかもしれません。
春香は人生の選択をした後、私たち家族に次の言葉を残してくれました。
不幸とは幸せと気づかないこと
ぶれない軸を持っていたのかもしれません。