7月4日の朝日新聞「天声人語」には、障害を理由に中絶と不妊手術をさせられた小林喜美子さんの人生が綴られていました。

 

 小林さんは、兵庫県尼崎市で、居酒屋を営む両親のもとで生まれました。3歳の頃、病気で耳が聞こえなくなりました。学校から帰ると、弟たちの面倒を見、休みの日には朝から洗濯をしました。苦労して小学校に通い、20歳で卒業します。聴覚障害者とのお見合いで結婚しました。妊娠が分かった時、「男かな、女の子かな」と喜びましたが、翌日、母に病院に連れていかれ、中絶と不妊手術を受けさせられたのです。赤ちゃんを失った悲しみで泣き続けていたそうです。「悔しいです。私の身体をなおしてほしいです。」と言葉を残し、3日の最高裁の判決を待てず、一昨年、89歳で天国に旅立ちました。

 

 読後、胸が締め付けられ、涙が零れ落ちそうになりました。

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