春香との闘病の時間を振り返りますと、「ありのままの自分」にこだわっていた春香の姿を思い返します。自分らしさとは何か?人が生きていく上で問い続ける永遠のテーマなのかも知れません。

 

 6月24日の中日新聞「考える広場」には、宇宙飛行士として世間の注目を集めた野口聡一さんの知られざる苦悩の様子が赤裸々に語られていました。

 

 野口さんが寂寥感、喪失感に苛まれたのは、宇宙から帰還した後でした。「今後自分はどこに向かうのか?」他の宇宙飛行士が宇宙に行けば「もう自分は必要とされていない」と思い悩んでしまったからです。

 

 これだけの著名な方ですので、引退後も将来を約束されていたと思い込んでいましたが、そうではなかったのです。野口さんはこれまでの人生を振り返り、常に他者との比較、他者の評価にとらわれていたことに気づきました。自分と向き合い、自分の価値や存在を認め好きなことを活かせる「ありたい自分」につなげることで苦悩を乗り越えていきました。

 

 2度目の手術の後、自傷行為を繰り返していた春香は、その苦悩の中で「ありたい自分」を模索し、そこにたどり着いていたのではないか、そしてその世界観を描いたのが「×くん」なのではないかと記事を読んでハッと思いました。

 

 春香が亡くなった今、生きているみなさんに、人と比べることなく、ありのままに生きていいんだよと、伝えることが私の心に芽生えました。私も自分に向き合っていきます。