5月25日の朝日新聞のbe on Saturday1面のフロントランナーに、パラクライミング選手の渡辺雅子さん(48歳)の記事が掲載されていました。小児がん経験者の渡辺さんの言葉に共感するところも多く、興味深く拝読しました。

 

 渡辺さんは5歳の時、左足の大腿骨に骨肉腫が見つかりました。その時は、人口骨などで足を温存し、松葉杖生活を送ります。小学校から通常学級に通い、大学院まで進学し、小児がんの子どもの心理を学びました。

 

 結婚し主婦をしていた2019年にパラクライミングのNPOを知り、「てっぺんまで登ったらどんな景色だろう」と興味を持ちますが、2020年に原因不明の血行不良となり眠れない日々が続きました。この時は、人生で初めて「死にたい」と思いました。しかし、同じ骨肉腫で切断手術を受けている女性と出会い、切断手術を受ける決意を固めました。この年から、クライミングの練習に本格的に取り組み、2023年にはワールドカップで5位に入賞しました。

 

 今でも小児がんの啓発活動のため、ドキュメンタリーを制作したり、アクセサリーをつくって販売したり積極的な活動をしています。

 

 記事の中で、渡辺さんは、切断手術をしたあとの感想を聞かれた時に「やっと自分の体が完成した」と述べています。5歳の時、医師は切断を勧めましたが、両親は「何とか足を残してあげたい」と頼んだそうです。渡辺さんは、「ありがたくもあったけど、重くもあった。」と心の内を正直に語られ、自分で選択した決断だったから、「自分の体になった」と感じたのだと主張されています。

 

 再手術前の春香の選択「右半身麻痺と失語症か、機能温存か」を迫れた時、「私は生きたいです」と答えた言葉は、今でも私の心に残っています。

 

「生きることは選択すること。」春香に教わりました。