映画『春の香り』の制作時に大変お世話になったレディーナナさんが司会を務めるオレンジリボン運動を見学させていただきました。オレンジリボン運動とは、児童虐待防止を呼び掛ける活動のことです。

 

 ステージ上では、子どもたちのはじける笑顔のダンスがあり、パレードがありました。私も飛び入りで参加させていただきました。

 

 オレンジのリボンを見ていると、ふと5月12日に毎日新聞1面に掲載された39年間で19人の里子を育てた坂本洋子さんの記事が頭に浮かび、帰宅後読み返してみました。なぜ、そこまでできるのか?坂本さんの活動の原点には、一人の里子の死がありました。その少年は、学校で友人に手を出すようになり、坂本さんは何度も謝罪に行きましたが、行政の判断で施設に戻されることになりました。その後も、交流は続きましたが、少年は就職差別を受けるなどし、17歳の時にバイク事故で亡くなってしまいました。坂本さんは立ち上がれないほど泣き崩れたそうです。

 

 その後、里子を受け入れていきますが、家出や暴力にも耐え、多くの里子を社会に送り出していきました。

 

 坂本さんは、かつて少年が、施設に戻るときに、ブドウの絵を描いて渡した聖書の一節を大切にしています。

 

「人がわたしにつながっており 私もその人につながっていれば その人は豊かな実を結ぶ」

 

 私はクリスチャンではありませんが、少年の伝えたかったメッセージが心に染みわたりました。

 

 児童虐待のない社会は、家族、行政、地域社会がつながらなければ実現できません。

 

 春香も空の上から「みんなつながっているよ」と伝えているような気がします。オレンジリボン運動の先頭に立つレディーナナさんの思いもこもった映画『春の香り』が、皆さんの心をつなげてくれると嬉しいです。

 

 ちなみに、姉の京香は、今日も児童養護施設で子どもたちから学んでいることでしょう。